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Haynesが作ったAPOLLO 11のマニュアル

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 Haynesというイギリスの出版社は,昔から自動車やバイクのサービスマニュアルを一般向けに編纂し販売することで知られています。

 日本では馴染みがないかも知れませんが,特にヨーロッパでは自動車は長く乗るのが当たり前で,日々のメンテはもちろん修理も極力自分で行う事が普通に行われているんだそうです。そのためのちょっとした部品や工具は,少し大きなスーパーマーケットなら手に入ったりします。

 ですから,ヨーロッパではサービスマニュアルに需要があり,本屋さんでHaynesのものが買えます。日本では自動車のサービスマニュアルは基本的にメーカーが整備士向けに発行するので,一般のユーザーには手に入りません。外国車の面白いところは,こういったマニュアルや部品が割と楽に手に入り,自分でなんとかしようと考えている人が世界中にいて,実際になんとかなってしまう場合が多かったりする,という点ではないでしょうか。


 日本でも,今ほどたやすく入手できたわけではないのですが,Haynesのマニュアルを手に入れる事は出来ました。私も先日手放したプジョー306(N3)のサービスマニュアルを持っていましたし,父は私が子供の頃に当時乗っていたBMWの320iのサービスマニュアルを持っていました。

 会社の知人で,メルセデスの300TD(W124)に乗っていた人も持っていると言っていましたし,やっぱり知っている人は知っているシリーズなんですね。

 そして,このHaynesの最新刊が,なんとAPOLLO 11です。

 6月頃の話ですが,いつも楽しみにしているWiredVisionのメールマガジンを見ていると,HaynesのマニュアルにAPOLLO 11が登場する,というウソのような話が出ていました。

 日本のamazonでも買うことが出来るという事で,年末発売に向けて予約を受け付けていたのを見て,迷わずポチってしまったわけですが,それが一昨日,私の手元に届いたのです。

 面白い事に,6月後半には日本国内でも洋書の専門店では販売されている一方で,日本のamazonでは現在も予約中,しかも価格は3000円を超える値段になっています。紀伊国屋で頼んでもこのくらいの値段になるようですが,実際に手元に届いた伝票によると,2162円と大幅に安くなっていました。

 USのamazonでも22ドルくらいでしたから,結局円高のおかげで安く買えたというのもあるようですが,いずれにしてもこの本が2000円ちょっとというのは,随分得をさせてもらいました。

 Heynesのサービスマニュアルらしく,青く,硬い表紙に,おなじみの透視イラストが笑えますが,中身は結構真面目な本で,ジョークな本ではありません。

 もちろん,Workshop Manualといいつつ,メンテナンスの方法や分解方法などが書かれた部分はほとんどないので,この点についてはウソなんですが,ではなにがのっているかといえば,アポロ計画という壮大なプロジェクトを,機器や機材という面から見たものであるという感じでしょうか。

 今年はアポロが月に着陸して40年というメモリアルイヤーであり,多くのアポロ関連図書が世界中で出ているのですが,多くはいかにアポロ計画が壮大だったか,という話が中心に据えられます。

 もちろん,一般にそれがもっとも重く,人類の歴史に刻まれることだと思うのですが,しかし材料学,信頼性工学,電子工学,コンピュータ工学,放射線工学など様々な科学技術分野はもちろん,生物学,医学,精神医学といった分野であったり,プロジェクトを率いるリーダーシップのありかた,定量的な評価を行う開発手法など,人間の行動様式について探求された結果など,多岐にわたる成果が幾重にも連なり,あの壮大なアポロ計画が成功,賞賛されるに至っているわけです。

 ただし,それぞれの分野の成果はあまりに専門的すぎ,実際に我々の生活の中に直接間接に組み込まれているものであっても,気付かずに過ごしてしまいます。

 そんな中,Haynesらしいなあと思うのは,アポロ計画を自動車という得意な視点で本にしたことでした。

 Heynesのマニュアルを見たことがある人ならわかると思いますが,最初はその車の大雑把な紹介,それと距離ごとの定期点検,その後各ブロックの分解方法と電気系統の図面が続き,最後に用語解説と索引となります。

 基本的にこれをフォーマットとしているわけですが,いつもと雰囲気が違うのは著者のアポロに対する熱い思いと,開発中の様々な機材の美しい(本当に美しい)写真がふんだんに使われていることでしょうか。

 もっとも,サターンロケットの分解方法や定期点検を書いても仕方がありませんから,一言で言えば「Heynesがアポロ計画のガイドブックを作るとこうなる」という,実に興味深い内容になっています。

 正直なことを言うと,これはイギリス人らしいジョークで,本当にサターンロケットや司令船の組み立て方や修理方法が書かれていると思っていたのですよ。「こんなの知っててどうすんねん」という突っ込みを,くだらないことに全力投球するHeynesに対する賞賛と共に送るつもりだったのですが,それがどうしたことか,大人も子供も読み物として楽しく,写真の美しさにため息をつき,そして散々語り尽くされたアポロ計画について初めて知る情報が満載であることに,驚くことになりました。

 ほら,アポロ計画の関連の本というのは,舞台が宇宙ですから,どうしてもそういう方面の話が中心になるじゃないですか。私はこんな人ですが,宇宙とか天体とか星とか惑星とか相対性理論とかケプラーとかコペルニクスとか,あんまり好きではありません。好きなのはロケット(特にロケットエンジン),宇宙船,コンピュータ,宇宙服,生命維持装置,通信や制御装置といった機材,システムです。それに,人間である以上,スイッチは押したいし,つまみはひねりたいですから,あの強烈なコンソールもちゃんと見たいわけです。

 だけど,そんな本ってなかなかなかったのです。

 この本は,アポロ計画の概要に始まり,ロケット,司令船,着陸船の構造や詳細,開発の経緯などが書かれています。

 例えば,アポロ計画の成果の1つに,集積回路を使った超小型コンピュータの開発成功が挙げられます。私のようなコンピュータ工学に興味のある人間にとって,この成果はとんでもなく大きいものなのですが,私は日本のアポロ計画関連の本で,このApollo Guidance Computer(以下略してAGC)について詳しく触れたものを,見たことがありません。

 しかし,この本は貴重な写真と共に,その開発の経緯や役割が書かれています。もっとも,Haynesのマニュアルですので,アーキテクチャや回路図,プログラムの書き方が書かれているわけではありませんが,コアメモリの製造現場の写真,初期のブレッドボードの巨大なラック,そして自らの背丈ほどに積み上がったテストのプリントアウトに列んでほほえむソフトウェア技術者のMargaret Hamiltonさん(メガネっ娘属性の人にはたまらんものがあるんじゃないですか)と,始めて見る写真にドキドキしました。

 もちろん,司令船のコンソールもちゃんと詳細に書かれています。そしてなんといっても宇宙服です。初期の宇宙服からアポロ計画に使われたものに至る過程がしっかり記述されており,写真がその進化を雄弁に語ります。

 アポロ計画が好きな人にはもちろんですが,私のように少し宇宙開発に距離を感じているような人にとっては,アポロ計画が決して地球外生命体からもたらされたオーバーテクノロジーで一足飛びに作られたものではなく,あるいは一握りの天才が閃きと勢いで作り上げた奇跡ではなく,我々人類が1つ1つ基礎から積み上げて作った成果であったと認識させ,身近なものだと感じさせてくれる,正義のガイドブックであると思います。

 だって思いませんか,そこらへんのアポロ計画の本を見ても,すごかったんだなあ,というくらいの感想しか出てこないでしょう?私のような,月面着陸が生まれる前の話で,物心ついた時にはスペースシャトルが往復していた時代の人間にとって,やっぱりアポロ計画というのは,今ひとつリアリティがない,歴史の上のお話です。

 この本が素晴らしいのは,それが現実であったことを教えてくれることです。

 簡単に手に入るかどうかは分かりませんが,この本は中身を見ずに買っても損はしないと思います。英語?いや,そんなものは大丈夫です。写真を見るだけでも十分楽しいです。宇宙に興味のあるお子さんへのクリスマスプレゼントなんかに,最適ではないでしょうか。

カセットコンロの買い換え

 ここ数日でめっきり寒くなって,少し前にはあれほど暑苦しいと思っていた土鍋が恋しい季節になりました。

 私も冬は土鍋を使った料理を自宅で友人と囲むことが多くなるのですが,そうなると欲しいのはカセットコンロです。

 カセットコンロは1980年代に登場し,それまでホースか電線で繋げるしかなかった一口コンロをコードレスにし,取り回しのよさだけではなく,足を引っかけて鍋をひっくり返すという命にかかわる事故を激減させたに違いなく,結果として一家団らんに革命をもたらした大発明だと個人的には賞賛しています。

 実はボンベが1つ100円程度とそこそこ安く,滅多に調理をしない独身者は,立派なコンロを都市ガスで使うよりも,基本料金を考えるとカセットコンロの方がずっとお得になるんじゃないかと思います。

 私も電磁調理器に変えるまで,カセットコンロを常用していた時期があり,なかなか便利に使っていました。ただ,高熱にさらされるため劣化がはげしく,塩分や油分がさらに追い打ちをかけて,3年もすると見るからに「危険」な様相を呈してきます。

 原理が単純なだけに一瞬使えそうと思うのですが,いつしかカセットコンロの下にたまった酸化鉄の粉の山をみると,これがどこから落ちてきたのか考え込んでしまい,火を着けようと伸ばした手を引っ込めてしまいます。

 そもそもガスのような得体の知れない物騒なもの(私が電気屋ではなく化学屋なら逆を言っていたように思いますが)に警戒感を持っていた私は,最後には電磁調理器に切り替え,以来IGBTとコイルが鉄の鍋と一緒に紡ぐ美しいハーモニーに酔いしれ,現代科学の偉大な勝利に祝杯を挙げる日々を送る事になるのですが,今週は寒いので土鍋で鍋焼きうどんにしようという話になりました。

 ところがかつて使っていたカセットコンロを見やると,まるでデロイアの砂漠に朽ちるコンバットアーマーのようです。

  鉄の腕は萎え 鉄の脚は力を失い
  埋もれた砲は二度と火を吹くことはない

  狼も死んだ 獅子も死んだ・・・
  だが砂漠の太陽にさらされながら巨人は確信していた
  若者は今日も生き 若者は今日も走っていると

  巨人は若者の声を聞いた
  吹きわたる砂漠の風の中に 確かに 聞いた


 あれ,前がかすんで見えないや・・・ちょっとダグラム全75話見て来ます・・・

 ・・・

 ・・・戻ってきました。Not even justice,I want to get truth.

 えと,なんだっけな,そうそう,カセットコンロでしたね。

 ということで,次世代制式カセットコンロの導入のため,会社の帰りに大手家電量販店に行ってきました。枯れた商品ですが,今まで数多くの私の期待を裏切り続けたお店のことです。価格が高いだの在庫がないだのと,結局通販で買うことになるような気がしますが,行くだけいってみます。

 面倒臭いので結果だけ書くと,イワタニのCB-CG-8というモデルを,2780円のポイントなしで買いました。ネットでは2980円に10%のポイントって感じですね。てことはネットだと実質2700円ですね。いやー,毎度毎度ふっかけてくるなあ,ここは。

 以前のものより火力が強く,しかもボンベを常時暖めてガス圧が下がらないという,一歩間違うとアフロ確実なギミック搭載で気分もブーストアップな商品ですが,2006年発売ですので事故が起きてリアルアフロになってる人がいたら,すでに話題になっているでしょう。

 早速使ってみますが,全体に剛性が低く,土鍋を置くと重みで歪みが出ます。これでは松任谷正隆さんと田辺憲一さんから厳しい意見が飛び出すことは必至ですが,もしかすると柔よく剛を制す,この歪みがボディ全体をサスペンションにして接地性能や追従性能を高めているのかもしれません。でもそれって初代CR-Xだよなあ・・・故ポール・フレール先生はそんなCR-Xの大ファンだったしなあ。

 中国製に見られるような精度の低さはなく,そこは(表記を信じるならば)さすがに日本製というところでしょうか。テフロンでコーティングされているので吹きこぼれも簡単に掃除ができて,全体的に不満はありません。極めて無難な買い物だったと思います。

 個人的な考えですが,私のように電気に依存する人間でも,やはりエネルギーは分散させた方がよいと思っています。特に液化ガスは熱源としては優秀で,これを少しでも確保しておくと,災害などの時にも役に立つと思います。

 最後に軽くレシピですが,市販の白だしの素を買ってきて,これを1:6で希釈,だしはこれだけでokです。うどんに白菜,鶏のもも肉にかまぼこや椎茸,焼き豆腐やネギなど思いつくままに投入し,一煮立ちしたら頂きます。とてもおいしかったですよ。
 

ラブプラスを眺めた休日

 孤独にさいなまれる現代人の心につけ込み,手を出した人の精気を吸い取り,廃人にしてしまうと一部で話題になっているゲーム,ラブプラス。

 あくまで「ギャルゲー」という範疇にあるこのゲームが異例のヒットを飛ばしています。一部には欲しくても買えない「難民」を生み,運良く手に入れた人々は自分の好みの服装や髪型にしてくれるという現実には滅多に起こらない事態に悶え,自分を最終的に裏切ることのない「恋人」に魂を奪われつつあるようです・・・というかNintendoDSに8x4を塗るなよ。

 それはそれとして,かのゲーム,なぜ品薄になるかといえば,一人で10本も買う猛者がいるのも理由の1つでしょうが,やはり想定外の人が買っているというのが一番の理由でしょう。発売数日で5万本という数字は,なかなか大したもんだと思います。

 今年は,日本人男子を洗脳した「ときめきメモリアル」の発売から20周年というメモリアルイヤーであり,おそらく登場した女の子もみんなおばさんになっていることと存じますが,私も初代のPCエンジン版ではなく,数年後にセガサターンの高性能のおかげで効率よく全キャラ全イベント完全制覇をさせて頂きました。今となってみればとてもとても良い思い出です。

 ラブプラスという恋愛ゲームが,告白後をメインとしたコンセプトで登場したことは,数々の亜流を生んだときメモの正統継承者である可能性が高いと私は勝手ににらんでいましたが,進化したであろうユーザーインターフェース,ユーザーエクスペリエンスを体験しないわけにはいかないだろうと,とりあえず買ってみることにしました。

 先々週家電量販店に足を運ぶと,やはり品切れ。買う気満々の客をまたも手ぶらで帰してしまう失態です。(このとき,私は難民が出ていることを知りませんでした。)

 もしやと思って帰宅後調べて見ると,やはり品薄で某巨大掲示板には難民スレが立っているほどです。CDやDVDのような追加生産の楽なメディアではないROMですから,再発売まではちょっと時間がかかるかなと半ばあきらめていると,大阪では有名な量販店の通販サイトで在庫ありという情報を手に入れました。そう,今時彼女を手に入れるには情報弱者であってはならないのです。

 ところが,残り2本。新規会員登録を行っている間に売り切れてしまい,激しい競争が生んだ格差社会に絶望したのですが,その数日後,あろう事か同じお店で在庫が復活。登録が済んだ私はさっさと購入し,晴れて難民キャンプを後にしました。

 土曜日に届いたそれは,何の変哲もないパッケージでした。「シンプルな白いパッケージは中身を想像させないためのコナミの良心だ」と言わしめたパッケージは,実は穴場であったイトーヨーカドーで母親に買ってきてもらうためのアシストなのかもしれません。

 事前に電池も充電してあり準備万端,早速名前の登録を行ったところで友人がうちにやってきました。

 最初は「きもい」「絶対やりたくない」「アニメ声は受け入れられない」などと強がっていた友人は,パッケージを見るとがぜん興味を示し,やりたそうに眺めています。

 私は,まるで親友が自分と同じ人を好きだったと知ったときの気分を思い出しながら,友人にゲームを勧めてみました。

 かくして,しばらく没頭している姿を私は見ていました。時にニヤニヤし,時に「こいつか」と面倒臭そうにする友人の無様な姿と一緒に,ゲームの進み方も見ていました。でもあまりしっかり見ると,自分がプレイするときにつまらなくなると,あえて見ないようにもしていました。

 100日経過して,友人は誰からも告白されることなく,高校を卒業してしまいました。友人は述懐します,勉強も部活も頑張った,でも寂しいと。嗚呼,青春。10代後半の輝かしい時間はもう二度と返ってこないのだよ。

 私は結局,この土日に名前の登録をやっただけで終わってしまったのですが,友人のプレイを見ていて,実に感心したのです。

 まず適度なボリューム,年下,同い年,年上という高校生にとっては重要な年齢差をフルカバー,タッチパネルによる快適なUIと,経験豊かな声優陣による会話シーン,基本システムはときメモのそれを踏襲しつつ,メールなど高校生に必須のアイテムをきちんと取り込み,「んなあほな」という設定やイベントもときメモを彷彿とさせます。

 NintendoDSのハードの限界に挑戦した(かどうかはわかりませんが)ポリゴンによる表現は見ているうちに脳内補完が入って違和感が消失,ぬるぬるした独特のクネクネも,別におかしいと思わなくなってくるから不思議です。

 男の一方的な「あんなこといいなできたらいいなあんなゆめこんなゆめいっぱいあるけど」がたたき込まれているゲームソフトを目の前にし,これは「心の風俗」ではないかと心配になるのですが,作り手のベクトルにぶれがないからこそ,馬鹿馬鹿しいを越えて,その向こうにある桃源郷にたどり着くことができるのかも,しれません。

 てことで,真骨頂である告白後の世界を,私はまだ見ていません。見るためにはそれ相応の努力が必要であり,私は未だ,大海に漕ぎ出すその覚悟が出来ていないのです。

 近頃,電車や街中でNintendoDSを持っている人がいると,持ち方が縦か横かを気にするようになりました。外でやるのはちょっと恥ずかしいゲームです。

 とりあえず,次の連休で頑張って見たいと思います。すみません。

 でも,全キャラ全イベント完全制覇には公式ガイドブックが必要なんだろうなぁ。隠しコマンドとか隠れキャラとかあるんだろうか。

SnowLeopardがやってきた

 8月最後の土日,民主党の大勝だとか台風だとかインフルエンザだとか,もうとにかくいろんなことが一気にやってきてお疲れ気味なところですが,Macの人にはもう1つ大きな祭りが控えています。そう,MacOSX10.6 SnowLeopardです。

 表面的には1つ前のバージョンであるLeopardとほとんど変わらず,しかし見えないところでは多くの部分をブラッシュアップし,次の世代を担うべき新機能を組み込んできました。

 見た目の派手さがない今回のアップグレードは,本来なら深く静かに進むはずだったのですが,どういう煽られ方をしたのか,あるいは何か抗しがたい引力でも働いているのか,各メディアがこぞって好意的に取り上げています。

 GrandCentralDispatchやOpenCL,64ビットカーネルなど,コンピュータ工学的な見地から,個人用のコンピュータもここまで来たか,と思わせるものがありますし,大きなアイコン,書き直されたFinder,キビキビとした動作(得にプレビューによるPDFの閲覧はいいですよまじで),という直接ユーザーの利益に繋がる改良も満載されて,それでいて価格はたったの3300円。はっきりいって実費みたいなもんです。

 2年かけて開発し,新機能満載のOSを,わずか3300円で売るというのは,アップルの収入源がOSではないという現実もあるでしょうが,販売店へのうまみも少ない低価格商品をあえて投入するのですから,やはりそれなりの戦略があると考えるべきです。

 コンピュータの専門家なら,64ビットカーネル,GCD,OpenCLの3つだけでも1万円以上の価格を払うことを躊躇しないでしょうが,それがどんなものなのか,知る必要さえない一般の人々に(誤解のないように言っておきますが,こんなややこしい話を知らずともその恩恵に浴することが出来るのがMacOSXのよいところです),今すぐ役にも立たず,見た目にもほとんど変わったところがない新OSに,将来の投資として1万円を出せるかと聞けば,それはおそらくNoです。

 しかし,これらの新しい技術を「多数派」にしておかなければ,システムとしてのMacを優位な位置にとどめておくことが出来ません。64ビットCPUと広大なメモリ空間,マルチコアプロセッシング,そしてGPUの演算パワーの開放と,これからの10年を担う重要な技術のスムーズな導入は,そのプラットフォームがこなせる仕事の優劣に直結します。デベロッパに移行を促すにも,それがメリットになると説得出来ねばなりません。

 マイクロソフトはOSが収益の会社ですから,商品の価格を下げるのは難しい話で,だからUI周りをいじって目新しさや派手さという,一般の人にわかりやすくお金を出しやすい機能を前面に押し出すのだ,といううがった見方もできるでしょう。実際,Vistaには目に見えないところにある,非常に重要な機能の拡張がいろいろ仕込まれています。

 AppleはOSに巨大な開発費用がかかっても,それをOSで回収する必要はありませんから,見た目に派手なことをせず,本当にやりたいことをやって,しかも価格に対する自由度をも駆使できることになります。

 ふと考えてみると,作る側のモチベーションにも差があるのではないでしょうか。お金を出してもらうためにUIを変えて派手にしよう,などという動機で仕事をするには,その変更や改良になんとなく納得がいかずとも,それを仕事と割り切らなくてはならないでしょうし,無言のプレッシャーだってかかるでしょう。

 一方で「今のOSから見た目は変えなくてもいい,ただしもっと洗練させてもっと綺麗に書き直して,より完成度を上げるのに時間をお金を使って下さい」と普通は言われることのない開発ゴールを与えられた時,開発者の目的意識は否応なしに高まることでしょうし,おかしなプレッシャーから開放された,気分的なゆとりが産み出す品質の高いコードが,安定性と納期に大きなアドバンテージを与えることでしょう。

 結果として64ビットカーネルにGCDとOpenCLという最新技術を,バグや動作の問題をほとんど耳にすることのない信頼性,約束通りの高速化と一緒に,より洗練された操作体系にくるんで,SnowLeopardは予定より早い発売日に発売されることになりました。

 もう1つ,SnowLeopardの重要な意義として,IntelのCPUへの移行の総仕上げという記念碑的な意味合いがあると思います。Rosettaはオプションとして残りましたが,PowerPCのコードをほぼ完全に消し去ることは,初めてIntelのCPUを搭載したMacが市場に投入された時からの悲願だったに違いありません。

 しかし,PowerPCでは動作しないSnowLeopardに,不平不満をいう声はほとんど聞こえてきません。1つにIntelへの移行がほぼ終わったという事実,1つにそれでもPowerPCを使わざるを得ない人にとっては,ほぼ同じ操作系を持つLeopardが残っており,少なくとも見た目に大きな違いがなく当分このままでいけそうだという気分がある,ということだと思います。どちらも非常に周到だと思いませんか。特に後者の作戦には舌を巻きます。

 ユーザーの反発を避けつつ,アーキテクチャの根本的な刷新を行って,その時々にやるべき先行投資をきちんとやる,Appleは昔からこうした移行劇が得意ではありましたが,Windowsの世界はIntelかAMDかでもややこしい話があるのに,Appleはこの点は見事だと思います。


 そんなわけで,MacOSX10.0のころから(もっと言えばMacOS7.5のころから),OSの発売と同時に自ら志願し人柱になり続けてきた私は,ここ最近のトラブルの少ない安定したOSに,巣立つ子供を見守る親のような気分で,うれしさと寂しさを噛みしめておりました。果たして,ユキヒョウは私の喉元に牙を立てる事になるのか!

 今回,一番面倒だったのは,実は入手でした。

 Leopardの時は発売日の夜に川崎のヨドバシに買いに行きました。なんの問題もなく手に入ったのですが,今回は川崎まで行くのが面倒だったこともあり,帰り道にある大井町のヤマダ電機に足を運びました。

 大井町のヤマダ電機は規模も大きいですし,ここ最近「Macに力を入れていてよく売れている」という提灯記事を何度か目にしており,「どうしてこれが売っていないのだ」と何度も期待を裏切られて来た事も忘れて,アキバでは深夜販売もやってるような話題の商品を,まさか発売日に売ってない,なんてことはないだろうと,心配もせずに売り場に向かいました。

 しかし大井町のヤマダ電機,またしても私の期待を裏切ってくれました。

 私の周りには2台のインストール対象のMacがあり,どちらもアップグレードを行う予定です。シングルライセンスが3300円,一方5ライセンスのファミリーパックが5600円です。激安なのはこのファミリーパックで,Macが2台あれば,もうその段階でファミリーパックを買う方がお得という話になります。

 ここ最近のMacの売れ方や,既に家族で1台から個人で1台の時代になっている状況を考えると,今回の値付けだとファミリーパックがかなり売れそうだと,私は思っていました。

 発売日の夜,ヤマダ電機のSnowLeopardコーナーに足を運ぶと,ファミリーパックは価格だけが出ています。店員さんに声をかけると,シングルライセンスだけ在庫があると言うではありませんか。

 はっきりとは言わなかったのですが,入荷していないと言ったような口ぶりです。発売日がずれたのかと思って他のお店にもないのですか,と聞いてみると,他のお店のことまではわかりませんと,逃げられました。少なくとも発売はされているようです。

 ここでSnowLeopard祭りに参加するため,損を覚悟でシングルパックを2本買う手もありましたが,ファミリーパックが限定という訳でもないでしょうから,買わずにかえりました。私はヤマダ電機については,お店を出るとき1円も使っていないことが大半です。買う気満々の人を手ぶらで逃すことは最大の失敗だと,私は店頭に立っているときよく言われたものです。

 翌日,20年来の友人と,吉祥寺で久々に会う約束があったので,吉祥寺にあるヨドバシで再チャレンジを試みました。16時半頃に行ってみると「入荷未定」とあります。入荷した数量が少なく,売り切れたのだろうと想像が付きますが一応店員さんに話を聞いてみることにしました。

 すると,やはり売り切れたと。今日の14時頃までは残っていた,シングルライセンス品は大量にある,という返事でした。入荷未定が気になったのですが,これは単純に通常品だけにメーカーに在庫があればすぐに入ってくるし,なければ時間がかかるという意味で,はっきりした納期が分からないという意味で書いているので,入手が難しいという意味ではないという話です。

 しかし,翌日の日曜日には人柱になってみたい私としては,手に入らなかった(それもあと少しの所で逃した)ことの悔しさも手伝って,なかなかすっきりしない気持ちでいました。

 友人は奥さんが今実家に戻っているため,ステートが何年ぶりかの独身状態に遷移しているのですが,かわいそうに財布の紐はしっかり握られているため,自由に遊ぶわけにはいかなかったようです。(奥さんが不在の間の2週間,夕食を作り置きして冷凍してあるという話を聞いて私は戦慄しました)

 しかし「結婚式に来てくれた友人と飲むの~」と私をだしに使い,飲み代として特別予算の獲得に成功したとのことで,普段は思い通りにならないことを思うがままにやりたいと,17時前からラーメン->回転寿司->焼き鳥という,およそ大人の飲みとは思えないような濃厚フルコースを二人で堪能しました。(私は食べ過ぎで動くのもままならなかったです)

 焼き鳥の次に飲みに行こう,とふらふら20時頃(そう,20時頃です)に歩いていると,偶然ヤマダ電機が目に入りました。つくづくヤマダ電機に縁があるなあと考えていたのですが,一応ファミリーパックがあるかどうかを見ておこうと思いつきました。

 ほろ酔い気分で階段を上がってMacのコーナーへ行くと,なんと普通にファミリーパックが売られていました。こんな事もあるんだなあ,と思いながら無事に購入,私の中で初めてヤマダ電機のランクが1つアップしました。なんか吉祥寺のヤマダ電機は,商品の並べ方1つとっても商売の基本に忠実で,好感触でしたよ。

 ということで,入手に手間がかかった上,偶然に近い形で買うことが出来たSnowLeopardを,日曜日にインストールしてみました。

 私は基本的にクリーンインストールは行わず,アップグレードで使っている人です。確かに互換性の低いドライバが残ったり,設定情報の不一致に悩まされることもありますが,現在の環境をそのまま引き継げることはとてもありがたく,結局そうして今まで使ってきました。幸いなことに,それでも特に問題を出さないのがMacOSXの良いところです。

 バックアップは普段からTimeMachineで取っているので,万が一の場合もまあなんとかなるでしょう。躊躇せずDVDをセットし,インストーラを起動します。

 RosettaとQuickTime7はオプション扱いになるので,カスタムインストールを選択。ここでそれぞれにチェックを入れて,後は放っておくだけです。

 私のMacBookProで約1時間。特にトラブルもなく無事に終了しました。

 その後Xcodeをインストールして,作業は終了。

 ぱっと触ったところ,特に問題はなさそうです。いつも一部の設定が引き継がれないままおかしな動作をしたりするものですが,今回はそれも少ない印象です。

 一通り機能を試し,その過程でWindowsの開け閉めなどFinderの動作の軽快感に満足して,これなら使えるという感触を持ちました(ただ,とある古いUSB機器のドライバがはじかれてしまいました。これはもう捨てましょう)。口元に血の付いたユキヒョウの壁紙も見ましたし。

 そうなると,次に試したいのは64ビットカーネルです。

 私のMacBookProはEFIが64ビット対応ですので,デフォルトは32ビットカーネルでの起動ですが,「6」「4」キーを押して起動すると64ビットカーネルで動いてくれます。

 SnowLeopard発売直前に,ローエンドの機種では32ビットカーネルしか動かない,これはアップルの差別化戦略だ,けしからん,という記事がでていたことで,MacBookのユーザーは(先の友人もそうですが)複雑な気持ちのようです。ただ誤解のないように言っておくと,カーネルが32ビットでもアプリは64ビットモードのものが動きますし,そのオーバーヘッドもほとんどない,というのがアップルの公式見解です。

 Windowsの場合,32ビットと64ビットは全く別のOSとなるため再購入,のち再インストールが必要になってしまいますが,MacOSXの場合は32ビットモードと64ビットモードが1つのOSに統合されているハイブリッドシステムですので,ユーザー(特に一般のコンスーマ)にとって,その違いを意識しなければならないシーンはほとんど存在しません。(PowerPCのバイナリさえ動くOSですからね)

 また,64ビットになって最も重要なメリットであるメモリの話も,Leopardなら(厳密にはTigerの10.4.4から)32ビットカーネルでもPAEによって32GBまでサポートしていますから,1プロセスが使えるメモリサイズに制約があっても,多くのユーザーにとって32ビットか64ビットかは気にしなくても良い話です。

 どっちでもいいならデフォルトを64ビットカーネル起動にしたっていいじゃないか,と思うところですが,いかにMacOSXとはいえ,カーネルが64ビットなのにドライバが32ビットでいいわけはなく,64ビットのドライバがなければ周辺機器は動作しません。

 デフォルトで64ビットカーネルが起動するのはXserveだけなのは,普通のユーザーは互換性と実用性から32ビットカーネルを選ぶのが自然であるというAppleの意思表示でもあります。もちろん,MacBookのEFIが32ビットなので,どうあがいても64ビットカーネルで起動できないという問題はあるかもしれませんが,だからといって64ビットになるメリットはありませんし,32ビットでも十分64ビットCPUを使いこなせるのですから,私自身はこの点を今は問題だとは考えていません。


 それとは別に,せっかく64ビットカーネルで起動できるマシンが目の前にあるのですから,試して見る必要はあるでしょう。てことで6と4を押しながら再起動しました。

 別に動作に問題がないだけなら32ビットカーネルで動かそう,と思っていたのですが,実は私の場合,64ビットカーネルにしたことで大きなメリットを得る事になりました。それは,eSATAのExpressカードが抜群の安定度を見せるようになったことです。

 半年ほど前,なかなか安定せず散々な目にあったeSATAカードですが,今はSil3132チップのカードを騙し騙し使っています。一度再起動をしてから使えばとりあえずカーネルパニックは発生しないので,これを使うときには面倒でも再起動をかけています。

 64ビットカーネルでこのSil3132チップを試して見ると,RAIDカードとして認識するようですが,HDDをマウントしてくれません。そこでVintageComputerで購入し,一度もまともに動いてはくれなかったJMB36xチップのカードを恐る恐る突っ込んでみました。

 SATAカードとして認識し,HDDもマウントします。まだ安心できません,大きめのファイルを何度かコピーしてみると,以前の検討の時とはうってかわって,高速で読み書きが出来ています。この間一度も不審な動作はなし。

 JMB36xのドライバはAppleがLeopardのころから用意していますし,ブートも可能なチップですから,いわば公式です。だから64ビットドライバも標準で用意されているのでしょうが,32ビットモードでもちゃんと動いてしかるべきところです。

 32ビットモードで動かないのは,なにかJMB36xのドライバとぶつかる他のドライバか何かがあり,これが64ビットモードでは読み込まれないため,本来のドライバが正常に動作しているのではないかと,そんな風に考えました。

 どっちにしても,このeSATAカードを経由し,高速で大容量のHDDになんの心配もなくアクセス出来るというのは,私にとってはものすごく大きなメリットで,この段階で私は64ビットモードでの起動をデフォルトにしました。余計なドライバを読み込まず,純正のドライバだけが読み込まれるフィルタとして64ビットカーネルを使うという発想は,これまでなかったです。

 
 64ビットカーネルを標準として使い始めて,私が気付いた問題点を挙げてみると,

(1)システム環境設定のうち,Processor,Flip4Mac,huey,Wacomのタブレット,KeyRemap4Macbookの5つを起動すると,システム環境設定を一度終了し再起動するよう促される。システム環境設定を再起動した後は問題なく開くことが出来るが,システム環境設定を終了してしまうと,次はまた再起動を促される。

(2)メールの送信が出来なくなってしまった

(3)WILLCOMのWS002INが動かなくなった

(4)KeyRemap4Macbookが動かなくなった

(5)Cyberduckが動かなくなった

 くらいです。


 (1)が一番気になったことなのですが,32ビットカーネルでも64ビットカーネルでも起こる問題です。理由は,これら5つの環境設定パネルが32ビットコードで書かれており,64ビットアプリである「システム環境設定」からでは開けないことにあります。そこで「システム環境設定」を32ビットアプリとして再起動し,32ビットコードの環境設定パネルを動かすという手順を踏むわけです。

 ただ,やっぱり気持ち悪いですよね。そこでいつものようにgoogle先生に聞いてみると,まずFlip4Macはβ版で対応しているとのこと。試して見ると問題なし。

 次にKeyRemap4Macbookですが,同じように困っている方が野良ビルドのバイナリを配布して下さっていたので助かりました。作者さんはお忙しいそうですが,そのうち正式対応されることでしょう。

 hueyは対応版は出そうにないですが,キャリブレーションソフトはちゃんと動きましたし,結果はICCプロファイルとして保存されるので,一応結果は反映されるようになります。ただ,SnowLeopardはガンマが2.2に改められるので,1.8前提のhueyがそのまま使えるかどうかは怪しいと見ています。

 Wacomのタブレットは,対応ドライバが出ていました。出ていましたが「システム環境設定」アプリの再起動は必要で,動作は問題なしというドライバでした。中途半端ですが,まあ仕方がありません。

 結局あきらめたのはProcessorです。Xcodeをインストールするとこれが使えるようになるわけですが,残念な事に32ビットコードであることに加えて,「システム環境設定」の再起動後も,クロックが0GHzと表示され,メニューバーへの表示も行われないということで,まともに動いてはくれません。

 (2)も64ビットに関係ないのですが,今回のアップデートで,SMTPサーバの設定のうち,ポートが25以外もデフォルトになりました。私のプロバイダでは,25以外だとパスワード認証が必要になっているのですが,今まではデフォルトが25だったのでパスワード認証をしていませんでした。

 結果,パスワード認証をすれば問題なく送信できますが,なんとなく面倒臭かったので,ポートをデフォルトから25だけを使う設定にしました。面白いのは,デフォルトでパスワード認証をしない設定ではメールの送信は出来ないが,接続試験はパスしてしまうことでしょうか。はめられましたよ。

 (3)は,WS002INで使っているUSB-シリアル変換チップのドライバが64ビットモードで動かないのが原因のようで,これはもう私ではどうにもなりません。幸い滅多に使いませんし,32ビットモードで再起動すれば動きますから,万が一使いたい場合には32ビットモードで動かすことにしましょう。

 (4)は,(1)でも書きましたが,野良ビルドのバイナリで解決です。32ビットモードなら対策前のドライバでも設定は有効になっていたのですが,64ビットモードでは全く動作してくれませんでしたので,本当に助かりました。

 (5)はSnowLeopard対応のβ版が出ていましたので,これで解決。

 PhotoshopCS3も,ScanSnapも,CaptureNX2も軽く試したところ,とりあえず動いています。PM-G850も問題なさそうですし,他のアプリも概ね問題なく動いています。turbo.264HDについては,SnowLeopard対応の1.0.3が出ていたので,これを試して見ようと思います。

 まだまだ全部の機能を試せているわけではありませんが,仮に問題があっても32ビットモードにすれば済む話ですし,普段の作業は64ビットモードで全然問題がないので,SnowLeopardにして大満足,ということろでしょうか。

 普段よく使うSafariやMail,iChat,Spotlightやプレビューがサクサク動くことで効率もアップし,外付けHDDを冷や冷やしながら使う事もなくなり,本当にうれしいです。

 もっとも,音楽関係のアプリやCanonのスキャナなどは,まだ試していませんが64ビットで動くとは思えないので,しばらくは使い分けになりそうな感じですね。そんな状態ですから,むしろ32ビットモードでもeSATAカードが安定して動くようにすることが合理的解決策な気がしますが,私のような人は64ビットモードで意地になって使い続けるのではないかと思います。

 まあしかし,これだけ軽快に動くのなら,それだけでも3300円の価値はありますよ。特にSafariは無償で配布されるSafari4とは違い,64ビット化されている上,プラグインが別プロセスになっているので,クラッシュしても救われます。それにちょっとしたことですが,メモリカードなどをアンマウントして取り出すことが出来なかった場合に,その理由を教えてくれることもなかなかうれしい機能です。

 世の中,Windowsの高速化ツールが有料で売られているくらいです。対応機種の方は,Appleからのプレゼントを素直に受け取っておくべきと,私は思います。

 
 

古いチップには古いドライバを

 かなり信頼性を高め,実績を積み上げつつある地デジ専用PCですが,やはりどうしてもビデオカードの増設を行う事にしました。気になっていた問題点は,

・DVIが出ておらず,アナログRGBで接続していること
 -> HDCPへの対応が不可能
 -> 本来の画質が稼げていないだろう
 -> DVDレコーダがアナログRGB端子を使うので,いちいちつなぎ替えるのが面倒
・グラフィックのパフォーマンスが不足がち
 -> 地デジ試聴にはギリギリ
 -> 3Dなどは目も当てられない
・CPU負荷を軽くしたい
 -> ATOM330は決して余裕のあるCPUではない
・空いたスロットは埋めるのが男
 -> 精神衛生上の問題は実は最優先課題である

 てな感じです。

 私のベアボーンであるR11S4MI-BAには,FOXCONNの45CTDという廉価なマザーボードが使われています。グラフィックについてはオンボードの945GCですから,最低限の性能しか持っていません。

 このマザーボードは拡張スロットを1つもっていますが,PCIのロープロファイルです。ゆえにここに差し込むボードに,グラフィックに関係するものは想定されていないといってよいでしょう。

 救いなのは,大きめの電源が小型ベアボーンの割には装備されているので,少々大きめの消費電力のボードを増設しても大丈夫なことです。

 とにかくPCIですから,速度的な改善はあまり望めそうにありません。3D性能の向上は期待できそうですが,それはこのマシンの仕事である地デジ視聴には貢献しませんから,DVIでの接続が出来るという事だけが目的になってしまいそうです。

 ただ,ディスプレイ切り替え器も何千円もしますから,グラフィックボードが数千円で買えるなら,考慮に値します。(こじつけっぽいですが)

 てなわけで,探して見ると,あるんですね,今時PCI接続のグラフィックボードってのが。しかもロープロファイルでファンレスです。こういうグラフィックボードって需要があるんでしょうかね。

 しかし値段は軒並み1万円越えです。PCIExpressのボードなら3000円ほどのエントリクラスのボードでも,PCIなら12000円もしたりします。数の問題でしょうか,それともPCIExpress-PCIブリッジチップの値段でしょうか。

 いろいろ見てみると,GeForceなら9400や8400がPCIでも使えるようです。ただ,このあたりになると2Dのアクセラレーションを行うハードが実装されていないらしく,3D性能を上げるために心血を注いでいるようですから,今回の私の用途には向いていません。しかもブリッジチップのせいで癖が強く,安定して動作しないケースもあるようです。

 低消費電力で2Dアクセラレーションがハードウェアで行われる「旧世代」のチップのうち最新で現行で,WindowsXPでも速度向上が期待できるものと言えば実際の所GeForce6200という数年前の(しかもエントリクラス)ものしか見あたりません。

 バッファローやアイオーでさえも,このチップを使ったグラフィックボードをメーカー製の小型PCの拡張向けに販売していたくらいですので,この手の用途向けにはこのくらいの選択肢しかないということでしょう。

 しかし,これに1万円以上は出せないなあ,と思っていたら,あるお店で玄人志向の「GF6200A-LP128H」というボードを5980円で処分していました。送料を入れても7000円までです。ヤフオクで買っている人は。入札前に少し探した方がいいですよ,この手のものは。

 届いて早速インストールしてみましょう。まあ,オンボードの2Dに比べて,PCIの速度がボトルネックになってしまうことは予想できますから,現状と同程度の速度が出れば御の字としましょう。

 ボードを差し込み,モニタをGF6200A-LP128Hに接続して再起動するとWIndowsが立ち上がりません。途中でリセットがかかります。おそらくオンボード用のドライバを読み込むときに失敗しているのでしょう。

 そこでBIOS設定から起動画面をオンボードに切り替え,オンボードの出力をモニタに椿井で再起動しますと,うまく動きます。あらかじめダウンロードしてあった最新のドライバをインストールして再起動。オンボードのドライバを無効にしてさらに再起動。BIOSの設定を変更し,PCIから起動するようにしてさらに再起動。

 ようやくGeForce6200が動き出しました。

 まずはベンチマークを取ってみます。CrystalMarkCrystalMark2004R3(0.9.126.452)を使います。

 最初に,オンボードの結果です。

GDI2275
Text 435
Square 506
Circle 790
BitBlt 544

D2D2998
Sprite 10 103.07 FPS (10)
Sprite 100 96.46 FPS (96)
Sprite 500 75.44 FPS (377)
Sprite 1000 58.95 FPS (589)
Sprite 5000 18.53 FPS (926)
Sprite 10000 10.00 FPS (1000)

OGL690
Scene 1437
Lines (x1000)(37077)
Scene 2 CPU(8)
Scene 2 Score253
Polygons(5363)
Scene 2 CPU(4)


 3Dなんかボロボロですわね。

 さて,ワクワクしながら,GF6200A-LP128Hです。ドライバは最新の186.18です。

GDI3070
Text 994
Square 1109
Circle 307
BitBlt 660

D2D1028
Sprite 10 82.38 FPS (8)
Sprite 100 65.78 FPS (65)
Sprite 500 34.47 FPS (172)
Sprite 1000 21.62 FPS (216)
Sprite 5000 5.56 FPS (278)
Sprite 10000 2.89 FPS (289)

OGL2031
Scene 11535
Lines (x1000)(194250)
Scene 2 CPU(32)
Scene 2 Score496
Polygons(17441)
Scene 2 CPU(16)

 GDIがそこそこアップ,OpenGLが大幅アップはいいとして,DirecDrawは「何じゃこりゃ」という結果です。まあ,過去のAPIですし,気にしないでおきましょう・・・

 そして,地デジの視聴をやってみます。

 何じゃこりゃ・・・コマ落ちがひどく,がくがくしています。ひどいときは音声も途切れます。おかしいと思いCPU負荷を見ると,ほぼMAXです。これはダメなはずです。MPEG2のデコーダの負荷が支配的とは聞いていましたが,そこはオンボードのVGAから変えていませんので,どう考えてもGF6200A-LP128Hに原因がありそうです。

 デコーダを変えてみたり,ドライバの設定を変えてみたりと,思いつくことは一通りやってみましたが改善されず,実用レベルに達しないということでまずは撤退。ボードを抜き,ドライバを削除してアナログRGBに戻してしまいました。

 後日,もう少し真剣に先人達から教えを請おうと考え,google先生に詰問したところ,いろいろ情報が出てきました。

 曰く,最新のドライバでは古いチップの性能は出ない,100番台のドライバを使うとDirectDrawの性能はがた落ちする,DirectDrawの性能こそ動画視聴には不可欠なのだ(Vistaは別)とのこと。

 なら,どのバージョンがいいんだとさらに調べて,候補として絞り込んだのは84.21,84.43,91.47,93.71,94.24です。84.21はGF6200A-LP128Hと同じボードを使ったバッファローの製品のドライバと同じバージョンですし,94.24あたりは90番台のドライバの完成形ということらしいです。私にはよくわかりませんが。

 ということで,まずは84.21から確かめてみましょう。

GDI3981
Text 1049
Square 1207
Circle 1084
BitBlt 641

D2D2153
Sprite 10 76.58 FPS (7)
Sprite 100 71.30 FPS (71)
Sprite 500 54.60 FPS (273)
Sprite 1000 42.25 FPS (422)
Sprite 5000 13.44 FPS (672)
Sprite 10000 7.08 FPS (708)

OGL1543
Scene 1892
Lines (x1000)(94038)
Scene 2 CPU(16)
Scene 2 Score651
Polygons(23059)
Scene 2 CPU(16)

 おお,GDIもかなりアップしていますし,D2Dもかなり回復しました。オンボードのスコアには届きませんが,186.18に比べるとかなり高速です。一方でOpenGLのスコアは大幅ダウン。やはり現在の競争は3Dグラフィックのパフォーマンス向上で行われているんだなあと実感しました。

 気をよくした私は,90番台に期待をかけます。94.24で落ち着いた人もいるというので,これでベンチマークです。

GDI3712
Text 995
Square 1039
Circle 1013
BitBlt 665

D2D2100
Sprite 10 86.73 FPS (8)
Sprite 100 80.28 FPS (80)
Sprite 500 59.94 FPS (299)
Sprite 1000 43.88 FPS (438)
Sprite 5000 12.50 FPS (625)
Sprite 10000 6.50 FPS (650)

OGL1630
Scene 1964
Lines (x1000)(121836)
Scene 2 CPU(32)
Scene 2 Score666
Polygons(23512)
Scene 2 CPU(16)

 全般的に性能向上があるように思います。チューニングってやつですね。一方で結構大きくスコアを落としたものもあり,このあたりはどう考えるべきか悩みます。ただ,DirecrDrawのスプライトのスコアを見ると,高負荷での落ち方が大きいので,90番台を使うのはやめようと思いました。

 そうすると,80番台の決定版とされる,84.43を試すしかありません。速度もさることながら,安定性やバグの少なさにも定評があり,このドライバでなければ満足に動作しないゲームがあったりするそうです。余程のことがなければこれでいこうと,ベンチマークを取ってみます。

GDI3789
Text 997
Square 1106
Circle 1039
BitBlt 647

D2D2155
Sprite 10 76.49 FPS (7)
Sprite 100 71.31 FPS (71)
Sprite 500 54.69 FPS (273)
Sprite 1000 42.31 FPS (423)
Sprite 5000 13.37 FPS (668)
Sprite 10000 7.13 FPS (713)

OGL1619
Scene 1957
Lines (x1000)(121836)
Scene 2 CPU(32)
Scene 2 Score662
Polygons(23481)
Scene 2 CPU(16)

 なんか,84.21と94.24のいいとこ取りっぽいスコアが出ました。どう評価していいか分かりませんが,スプライトについても30FPS以上なら見た目にあまり影響はありませんから,むしろ高負荷でもフレームレートが下がらないことを重視して,このドライバを使うことにしましょう。絶対性能も大事ですが,いわゆる安定性は評判によるところが最もあてになることですし。


 さて,ベンチマークはいいとして,実際の地デジ視聴はどうかというと,かなり改善して,音切れがなくなったのはよいとして,それでも時々カクカクします。我慢できないレベルではありませんし,これで安定して動いてくれれば,DVIを使って接続できるメリットを考えると,これでいいかと思うレベルです。

 CPU負荷をみると,最新版のドライバに比べてかなり下がっており,以前は60%を下回る事などなかったものが,今は30%台後半になる事も多く,平均して40%中頃という感じです。オンボードの時はもう少し低かったのですが,まずは一安心です。

 スタンバイ/復帰のテストも一応合格,温度上昇も思ったより低く,GeForce6200Aのチップ温度は50度ちょっとで安定しています。録画したデータのドロップもありませんでしたから,これでしばらく運用して問題がなければ,これでいこうと思います。

 いろいろ思うことはあったのですが,新しいドライバがよいとは限らないという話は,結構私にとっては斬新な考え方でした。考えてみると,ドライバといえどソフトウェアなわけですから,CPUが高速になり,メモリが増えると,ドライバだって重くなるのが常です。機能も増え,チューニングも進む一方で,新しいCPUを期待した設計になっていることも当たり前な話ですから,PCの世界というのは常に最新の状況で使わないと恩恵にあずかれないものなんだと思いました。

 それにしても,Windowsの世界というか,自作の世界というか,グラフィックボードの世界というか,つくづく奥が深いですね。Mac使いの私としては,知らない言葉,分からない習慣など,右往左往することばかりでした。楽しいとは思わなかったところが私が自作の人ではない証なのでしょうが,それでもインターネットの力といいますか,2chの力というのはすごいものです。ネットワークに繋がって共有された情報の強さもつくづく感じました。

 知識の共有と蓄積は,文字の発明に始まり,印刷の発明で爆発,そしてコンピュータとネットワークの発明で加速し,すでに人類の機能の一部となっている感さえあります。コンピュータとネットワークによって新たに産み出される情報量は毎日毎日膨大な量になっているでしょうが,こうなるともはやすべての情報に精通するのは不可能であり,これまで以上に特定分野の専門分化が進むことでしょう。評論家やコメンテータがもっと増えちゃうんでしょうね。

Turbo.264HDを買いました

 先日実家が地デジに移行を試みた(実はその試みは完遂できず)ことで,いよいよ地デジも身近な存在になってきたんだなあと思うこの頃ですが,私は私で,番組アーカイブのワークフローの最終局面,エンコードをどうするかという壁にぶち当たっていました。

 私は動画マニアではありませんが,録画したものを捨てるのも惜しいという根っからの貧乏性で,つまるところ私が欲しいものは「残した」という事実だけなのかも知れません。

 奮発してMacBookProを買ったわけですから,高速なCPUを有意義に使い切り,高速なH.264/AVCエンコードを期待したのですが,あれこれやってみてもなかなか速度が上がらず,Core2Duo口ほどにもなし,と思っていました。

 Macでソフトエンコードを行う手段としては,ffmpeg,Handbrake,iSquintなどがあります。いずれもフリーで使えるものだと思うのですが,有償のものはあまり話を聞かないので,あまりよいものではないのでしょう。

 Handbrakeの評判が良いようですが,これはMPEG2-TSを直接読めないので私としてはNG。別に音声トラックを分離すれば良いだけなのですが,それに5分もかかってしまうようだと,ちょっと手間ですよね。

 個人的にはiSquintが良い印象でした。操作がシンプルで速度もまずまず,画質も悪くはありません。MPEG2-TSを直接処理できることもポイントが高いのですが,それでも実時間の3倍程度かかってしまいます。(1440x1080のMPEG2-TSを1280x720のH.264/AVCに変換した場合)

 エンコード中,CPU負荷はほぼMAX。ファンも回りっぱなしで,これが1時間半も続くのですから,電気代にも変化があるのではないかと思うほどです。仮にですよ,1時間の番組をCMカットして48分くらいにして1クール13話を処理すると,エンコードだけで約40時間もぶっ通しで動かし続けないといけません。これはしゃれになりません。

 しかもCMカットをしないといけませんし,元のデータが大きいだけにファイルのコピーだってそれなりの時間がかかります。これはもう普通の人がするような作業ではないですよ。すごいなーアニヲタの熱意というのは。

 地デジ専用マシンのATOM330でエンコードもやってしまえばいいんですが,おそらく今の倍は時間がかかるでしょう。試したことはありませんが,CPU負荷も最大になるでしょうから,途中で録画が入るようだと,ドロップしてしまうに違いありません。恐ろしいことです。

 てことで本当に残しておきたいものはMPEG2-TSのまま残せばいいとして,消すには惜しいし,と言う程度のものをどうやって残すかが,目下の所のテーマだったわけです。

 そこで,私は,高額だったにもかかわらず,ハードウェアエンコーダという禁断の果実に手を出すことにしました。

 Turbo.264HDがそれです。

 Mac専用のハードウェアエンコーダで,ソフトエンコードの3倍は高速だという触れ込みです。USBに取り付けるドングルで,ソフトも専用のものをつかいます。

 ソフトは簡単に使えるように,主立った設定はプリセットとして登録されていますが,細かいパラメータは無理としても多少の設定変更が可能になっています。

 価格はamazonで約18000円。高いなーと思いましたが,製品版のソフトエンコーダも軒並み1万円を越えるわけですし,ハードウェアによるアクセラレータがこの値段ならよいのではないかと,そんな風に思って買うことにしました。

 USBドングルになっていて,720や1080のHD画像が扱えるハードウェアエンコーダというのは案外Windowsには少なく,高速で簡単に使えるエンコーダがMacで使えるようになっていることは,大変ありがたいことでもあります。

 早速試してみたのですが,iSquintで90分かかった処理が,Turbo.264HDでは25分ほどでした。だいたい3.6倍ほどですか。これは確かに速い。実時間よりも少し速いくらいの速度が出ています。

 しかもCPU負荷が下がっているのですから,うれしい話です。

 ただ,本当にCPU負荷がないようなアクセラレータだというなら,安いMacBookとかMacMiniでもいいはずです。しかし,Turbo.264HDの場合,一部の処理はCPUが行っています。だから,CPUが高速なマシンで使うと,さらに高速化が可能という話になっています。

 ということはですね,SnowLeopardでGrandCentralDispatchやOpenCLが使えるようになって,専用アプリが対応をしてくれると,Turbo.264HDもさらに高速化できるという事になります。なかなか楽しみです。

 CABACの様な重い処理をおそらくTurbo.264HDでやらせているのだと思いますが,どんな処理をどこまでやらせるのか,というところは,システム設計においては重要な問題で,今回のTurbo.264HDも随分と議論があったのではないのかなと思います。


 出来上がった動画は,特別綺麗というわけではありませんが,もしサイズの小さい画像なら,本当に実時間の数倍が出てくるようになるかも知れません。iPodTouchやアドエスで気軽に動画を持ち出せるようになると,かなり面白くなってくるように思います。

 実際の運用に突っ込んでみてどこまで安定するかも大事なことですが,現時点ではかなり強力な武器を手に入れたと考えています。うまくするとドラマ1クールが2層のDVD-R1枚に入るようになるのですから,大したものです。

 とりあえず,来月くらいから本格的な運用に入ってみようと思います。もう少し使い込んで,最適な設定を見つけることも必要ですし,とにかく数をこなして傾向をつかむ必要はあると思います。

地デジアンテナブースタの効き目

 地デジ導入にあたり,テレビ神奈川が安定して受信できていないことは,先日もここに書きました。そしてアンテナブースタを使ってみようという話になっていたのですが,この前の土曜日に手元に届きましたので,試して見ました。

 実は私もエンジニアの端くれですので,アンテナブースタなんてのは「初歩のラジオ」に製作記事が出てくるくらいの簡単なもので,中学生の教材だとなめてかかっておりました。

 その実,今まで何度か作ってみましたが一度として満足行く結果が得られたことはなく,ブースタを間に入れない方が受信感度が高いとか,ブースタに使ったICがなにやら熱くて指をやけどしたとか,まるでドジっ娘さながらの鈍くささです。

 しかし,ブースタも買えば何千円も何万円もする代物です。結局最終的に綺麗に受信できるようになればよいわけですから,数百円で自作出来ればそれが一番良いわけです。

 そう考えて取り組んでも一度としてうまくいかない私は,すっかり高周波に苦手意識を持つようになりました。世の中頑張ってもどうにもならないことというのがあるものです。

 そんなわけで,テレビ神奈川が安定して受信できるように,都合3種類のブースタを作ってみたのですが,いずれも失敗。こんなにうまくいかないものかと,原因を探る気にもなりません。

 もうあきらめて,ちゃんとしたものを買おう,メーカーの軍門に下った私は,googole先生と相談の上,1つの機種に行き着きました。

 YAGIのアンテナブースタでDPW02という機種です。ゲインは2倍,アンテナ直下に取り付けることも可能な防水仕様で,電源部は室内におけるように分離されています。価格は約4200円ですが,安い割にはなかなか評判もいいようです。

 私の場合,集合住宅ですので,共聴システムの一部としてアンテナブースタは入っているはずです。しかし,建て屋全体でそこにぶら下がる機器が多かったりするとレベルは下がります。こういう場合,室内に個別のブースタを用意すると改善するそうで,実はアンテナブースタのメーカーもそういう使い方で効果が出るように,作るんだそうです。

 これが一戸建てで,アンテナからのレベルが元々低いものを室内に用意したブースタでパワーアップしようとしても,元々小さい信号ですから大きくするにも限界があるんだそうで(どうも私にはこのあたりがピンと来ません),一戸建てではアンテナ直下が原則になるようです。

 まあそんな,ピンと来ない話だらけの高周波には苦手意識というか海千山千の怪しさを感じる私ですが,だまされたと思って届いたブースタを使ってみますと,これがまた見事に改善されるんですね。

 あくまで参考値ですが,私の環境で,テレビ神奈川の受信レベルがブースタなしで約17dB,これがブースタを入れると23dBとなり,ちゃんと6dB(2倍)アップしているんです。

 いや,これだけ数字がぴたりと合えば気持ちがいいです,私の場合,この値が20dBを越えるくらいだとドロップもなく安定受信できるので,変動しても20dBを切らないように出来たこの状況は非常にありがたいと言えます。

 思えば私の場合,テレビ神奈川は受信できたり出来なかったりという当落線上にありましたから,ブースタで少しかさ上げすれば救える状況だったといえるかも知れません。だからこそブースタを導入することで,安定受信できた,という結論が得られたのでしょう。

 問題がないわけではありません。何せ電源が必要な装置がアンテナ線の真ん中に入り込んでいるわけですから,停電があったり故障があると,電波が完全に遮断されてしまい,全く受信できなくなってしまいます。ブースタなしだとテレビ神奈川以外はきちんと受信できているわけですから,これはハイリスクハイリターン,といえなくもありません。(おおげさです)

 ですので,このアンテナブースタの電源部も,UPSから電源を取ることにしました。これで停電も雷もばっちりです。

 今回は,さすがにメーカーの底力をみました。ちょっとハンダ付けが出来るくらいのエンジニアが暇つぶしにちょこっと作る程度の工作で出来る事なら,4000円や5000円くらいで市販されるはずもありませんわね。

 地デジに特化してあることで,帯域を狭めて効果を高めることが出来るとか,新しい素子を使っているとか,この時代ゆえの事情もあるでしょうが,このくらいのお金で問題が解決すれば安いものです。

 集合住宅で,出力の小さな地方局の受信が出来たり出来なかったりという方は,このアンテナブースタを使うと,保証はしませんが,幸せになれるかも知れません。
 

LCDモニタも買いました

 最近はLCDモニタが安いですね。ここしばらくのうちに引っ越しがあるだろうと思っている私は,8年ほど前に購入したシャープのLCDモニタ&テレビLL-M1500Aをしぶとく使っていました。15インチXGAですが,画質はなかなかよく,TVチューナーもD端子もビデオ入力も搭載し,あげくリモコンまで用意されているという,とてもありがたいモデルでした。当時10万円近くしたんですよ。

 私のマシンがノート型に移行するに伴い,このこのモニタは単なるテレビに成り下がっていたのですが,先日のATOM330マシンを地デジマシンに仕立てたことで,LCDモニタ本来のお仕事に返り咲きました。

 しかし,15インチのXGAで地デジは,あまりに厳しい。まるでネットブックで見ているようです。非常に不満だった私は,緊急LCDモニタ選定会議を招集しました。

 第1回目の結論は,機種選定に適当なものはなし,よって見送りでした。というのは,やはり入力端子と価格のバランスの問題でした。

 条件として,(1)アナログRGBがあること (2)コンポーネントもしくはD端子があること (3)スピーカー内蔵 (4)HDCPに対応した端子があること (5)大きさは20インチまで (5)マシン性能がプアなのでフルHDは無理 が挙げられます。コンポーネント端子というのが足を引っ張る条件なのですが,これは今私が使っているDVDレコーダを捨てるわけにはいかないので,必須になります。

 しかし,日本独自規格のD端子はもちろんのこと,コンポーネント入力による525iや525pが入るディスプレイはAVモデルを標榜しており,なかなか高価なのです。

 今時,20インチ程度のワイドモニタなら,1万円台前半で買えます。解像度が低くて良いなら1万円を切るものもありますが,これらはアナログRGBとDVIがあるくらいで,コンポーネント入力やD端子があると,チューナーまで内蔵して6万円とか,そういう価格になってしまいます。

 安いものを探してチューナー3万円というのを見つけましたが,それでも倍の価格ですから,躊躇したのです。

 LCDパネルの価格が下がり,素モデルであるLCDモニタの価格が暴落しているのは知っているので,もし本当に買うなら今なのだけど・・・とあきらめきれず,google先生に相談します。

 するとさすが先生,面白い情報が出てきました。一部の三菱製LCDモニタには,アナログRGBと兼用で,コンポーネント信号が入力できるようになっているようなのです。その場合,525pは問題なく表示され,525iについても簡易表示が可能という話なのです。

 ただし,このコンポーネント入力に関しては説明書にもほとんど説明がなく,市販のケーブルを使ってくれとあるだけです。カタログやWEBにも,AV機能を強化と書いてあるだけで,具体的な話はほとんどありません。

 しかし,先生が教えてくれた情報によると,三菱のLCDモニタのうち,RDT192WLM,RDT204WM-S,RDT223WM,RDT223WM-S,RDT241Wの5機種については,コンポーネント信号の入力が可能ということです。

 本当かどうかはわかりませんが,一応考慮すべきでしょう。

 一方,私はモニタについては三菱のファンで,それはトリニトロンブラウン管の特許が切れた直後に類似の構造と性能をもつ,ダイヤモンドトロンを商品化した90年代前半からでした。

 高い性能に不相応な低価格でコストパフォーマンスは非常に高く,真面目なものづくりから,働いているエンジニアのきまじめさが目に浮かぶようですが,一方でこれで儲かるのかよ,と思うと気の毒な気持ちになる事が多い三菱製品。そういうバイアスもあってか,私もモニタを選ぶときはまず三菱から選ぶようにしています。

 弟が買ったモニタも三菱でしたが,満足度は高いと言っていましたし,お金にうるさい古い友人も結局三菱にしたといっていました。彼らのようなうるさがたが三菱で満足なら,私ごときに不満の出るはずがないでしょう。

 かくして,20インチ程度のモニタとしてRDT192WLM,RDT204WM-Sの2機種を考えてみます。RDT192WLMは最安値で14000円となかなか安いのですが,1366x768と今使っているモニタに対し,横幅が広がっただけになっています。これは少々つまりません。

 それではとRDT204WM-Sを見てみると,こちらは1650x1050とかなり広いです。先日組み立てたマシンは,最新のBIOSにすることでこの解像度に対応することは分かっていますので,接続性も問題なし。価格はわずかに2万円を切るという感じです。

 6000円の差をどう考えるかですが,PS3を繋ぐことも考えると,やはり解像度は高い方がいいです。ピッチもRDT192WLMが0.3mmに対しRDT204WM-Sは0.258mmとよい細かさです。(私の好みの問題です)

 安いお店を探してみると,昔良い対応をしてくれたお店が引っかかりました。迷わずここにお願いすることにします。木曜日夜の注文で,土曜日の午後に届けてくれました。

 私は開封して気が付いたのですが,この機種はHDMIが搭載されていたんですね。DVI-DをHDMIにするケーブルを別に買わないといけないなと思っていたのですが,これはちょっとうれしい誤算でした。

 さて,古いモニタを処分して,新しいモニタをセッティングします。

 このモニタ,基本性能は素晴らしいのですが,かなりコストダウンをしています。重量のある大型モニタは筐体をしっかり作ったり,アームに金属を使ったりと,なにかとお金のかかるものなのですが,このモニタは6kgと軽く,アームと言うよりスタンドは全部プラスチックです。高さを調整する仕組みは,2cm程のブロックを積み重ねる方式で,一緒に見ていた友人は「レゴみたい」と大受けです。でも,これはかなり合理的な方法です。私はこの仕組みが大変気に入りました。

 画質の調整などは,ほとんどいじっていません。そのままでもう十分だと思います。ただし,バックライトが明るすぎるので,一番暗くしてあります。それでも明るくて困ったものです。

 それ以上に困ったのが音質の悪さです。ICレコーダの内蔵スピーカよりも悪いんじゃないか,もしかすると電話並みじゃないかと思うほど音が悪く,これはちょっと使えません。外付けのスピーカが必要になるのですが,どうせスピーカを付けるならもう少し使えるものが欲しかったし,この程度のものなら潔く付けないでいてくれた方が良かったように思います。

 心配していたコンポーネント入力については,あっさり解決。というのも,数年前に購入したプロジェクタ用に,コンポーネント入力ケーブルを自作していて,どうやらこのケーブルがそのまま使えそうだったことが分かっていたのです。DVDレコーダに繋いでみると,あっさりと表示が出ます。どういうわけか,525iでも525pでも問題なく映ります。

 こうなってくると,次の問題は入力の切り替えです。このモニタはアナログRGB,DVI-D,HDMIの3つがあり,切り替えが可能なのですが,アナログRGBとコンポーネント入力は共用です。市販のRGB切り替え器は,全線切り替えならいいですが,そうでない電子式の切り替え器などはコンポーネント入力に対応しませんので使えません。

 1650x1050ドットの高周波信号を劣化せずに伝送するのは切り替え器を挟むと難しいでしょうから,面倒でも手でつなぎ替えることにします。そのうちDVDレコーダも使用頻度が落ちることでしょうし。

 HDMIはPS3につないで見ますが,ちゃんと1080pが受けられています。これでBDも楽しく見れることでしょう。

 グレアパネルには賛否両論があるでしょうが,今回の用途と,私が元々グレア派であることから,歓迎すべきポイントです。しっかりしたARコート施し,光源の位置を調整すれば,ノングレアにする必要などない,というのが私の持論です。

 ということで,本格的にモニタを運用してみて,2万円は安いよなあとつくづく思いました。私は画質にこだわりもないし,このマシンでは写真の編集もしないので,そんなに高価なモニタは必要としていません。必要以上に十分な基本性能を持ち,HDMIまで持っていて,しかも消耗品を除いて3年補償という品質にを維持するこのモニタに,私は大満足でした。

 20インチ目一杯に広がった地デジの映像は,フルHDには足りない画素数ですがもう十分で,個人用のテレビとしてはもうなにも文句はありません。

 都合,7万円ちょっとで20インチの地デジ+1TBのHDDレコーダ(Wチューナ)が揃ったことになるわけですが,同じシステムなら家電量販店で10万円くらいで買えるのかも知れません。でも,自由度の高さはこの組み合わせでしか手に入らないものです。

 気になっていた消費電力ですが,モニタがエコモード使用で22W,本体が約50Wですので,70Wちょっとでしょうか。最近のテレビは100Wを簡単に越えるので,録画システムまでいれてこの程度の電力なら,気にせず使えるレベルではないでしょうか。

 とはいえそこはさすがにATOM330ですから,コマ落ちも時々起こりますし,エンコードまでやらせようとするのは難しいです。あくまで録画用と割り切る必要がありますが,折から家電とPCの境界がなくなりつつあることと,ATOMという低消費電力プロセッサの登場とにより,家電とPCを区別しない時代の可能性を感じました。

ATOM330ベアボーンの組み立て

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 突然ですが,PCを1台組み立てることにしました。

 理由はいろいろありますが,1つはATOM330というインテルのデュアルコアを試してみたかったこと,WindowsXPがそろそろ市場から消えそうなこと,安いベアボーンが手に入ること,1つくらいまともなWindowsマシンがあってもいいかと思っていたこと,そして最後に地デジへの移行手段にならんもんかな・・・,というところです。

 ATOMというプロセッサは性能はそこそこで値段と消費電力を下げたシリーズで,あくまで体感上の話だと思いますが,爆熱で知られたPentium4の2.8GHzくらいのパフォーマンスに近いと言われています。私に言わせればCPUの性能はもう十分なところにきていて,後は周辺,特にグラフィックとメモリに関係するシステムの出来如何で,全体のパフォーマンスが左右されるということでしょう。

 この考え方に従えば,ATOMとIONの組み合わせは最強と言えるのですが,まだ安いベアボーンが手に入るような状況ではなく,今回は残念ながらパス。しかし原子にイオンとは,次はプラズマとかそのあたりですかね。

 そんなことはどうでもいいんですが,今回手に入れたのはこんな感じです。

・R11S4MI-BA(FOXCONN)
・HDT721010SLA360(HGST)
・2GBのDDR2-DIMM(GreenHouse)
・DVR-SH20SD(アイオーデータ)
・WindowsXP Home Edition SP3

 このうち,DVR-SH20SDは最初は買うつもりはありませんでしたが,マウスを買いにいったヤマダ電機で2980円で偶然安売りしているのを見つけ,衝動買いしたものです。

 今回のベアボーンであるFOXCONNのR11S4MI-BAは私の購入価格で14999円と安い上に,HDDは3.5インチ,光学ドライブは5インチハーフハイトが使えるのですが,その割にはSATA専用だったりして,余ったパーツを使う事ができませんでした。

 光学ドライブはどうせOSをインストールするときくらいしか使いませんから,USB接続のものをインストールの時に使って済ませるにするつもりだったのですが,まあ3000円なら新品でもバルク品が買えるかどうかという価格でしょうし,3000円けちってインストールに手間取るようだと馬鹿馬鹿しいので,買うことにしました。

 買ってみると,なかなかのハイスペックでDVD-Rの20倍速ライト,DVD+RのROM化,DVD-RAMも読み書きOK,nero8の限定版が付いてくるなど,期待以上のものがありました。うちで一番いいドライブになってしまいましたよ。

 HDDは私が個人的に信用しているHGSTの1TBです。7350円。

 DIMMは年末に比べると少々値上がりしていますがそれでも十分安い。DDR以降のDIMMはチップそのもの以外にも,基板の設計がタイミングマージンにきいてくるので,ここはやはりブランドもので安い製品を探します。今回はグリーンハウスが安かったのでこれに決定。2280円。

 WindowsXPのDSP版を買うのは私は今回初めてなのですが,これって結構価格がばらついているようですね。高い店と安い店では3000円ほど差があるようです。もともと1万円くらいのOSなのに,こんなに差があると慎重になります。

 今回は11000円相当くらいの価格になるお店を選んで,DVD-Rドライブを除く全部をお願いしましたが,よく知っているお店ですし,信用できるところで買いましたから,まずまずの買い物が出来たと思っています。

 結局,ここまででかかったお金は38570円。キーボードもマウスもモニタも流用しますので価格には入っていません。送料を入れても4万円以内,これでメモリ2GB,HDDが1TBでWindowsXP付きですので,メーカー品に負けてないでしょう。

 ただ,主役であるベアボーンが,さすがに安いだけあって惜しい点もあります。まずMini-ITXのくせに結構大きいこと,ファンがそれなりにうるさいこと,見た目が格好良くないこと,アナログRGBしか出ていないこと,拡張バスがPCIであること,メモリスロットが1つしかないこと,です。

 このベアボーンに限った話というよりは,ATOM搭載のMini-ITXの主流がこうした傾向を持っていて,値段が安いことを売りにしているのが現状ですから,やむを得ないのかも知れません。私としては,初期投資額は少々高くてもいいので,徹底的な諸消費電力の低減を行ってもらうか,拡張性にもう少し考慮してあるとよいなと思います。

 先日の土曜日の午後に届いたこれらを早速組み立ててみます。

 まずベアボーンを開梱しますが,いや,想像していたよりも大きいですね。コンパクトなPCを想像していましたが,これだとコンパクトとは言えないくらいの存在感があります。ACアダプタ式ではないことは一長一短な所があるのでなんとも言えませんが,150Wという容量があることは,1つの安心材料のような気がします。

 HDDやメモリは目視では問題なさそうです。DVD-Rドライブも大丈夫ですね。Windowsも入っていました。

 ベアボーンを分解し,パーツを取り付けていきます。作業は本当に簡単で,あっという間に終わります。早く終わりすぎて面白くないくらいです。

 ディスプレイ,キーボードとマウスを繋いで,起動します。BIOSのセットアップでHDDやメモリが認識されていることを確認し,さっさとBIOSの設定を行います。

 リセットで再起動。ここでDVD-RドライブにWindowsXPを入れてインストール開始です。1時間ほどするとインストール完了です。あっけなくWIndowsマシンになりました。

 ここから先は,ドライバのインストール,各種設定,拡張機器の導入ということになりますが,地デジチューナーを除き,さっさと終わってしまいました。

 ただ,基本的なドライバが収められたCD-ROMに収録されているインストーラは,256色のVGAでは表示されない部分があるので少しはまりました。先にディスプレイのドライバだけ入れて置かないと,残りのドライバを入れるのにちょっとだけ戸惑います。

 さて,動いて見れば,ただのWindowsXPマシンです。2GBのメモリ,1TByteのHDDは一昔前の高スペックマシンですから,一昔前のOSであるWindowsXPならストレスフリー!,といいたいところですが,やはり少々引っかかる感じがあります。

 私以外の人も書いていますが,アプリケーションを起動するとき,ダブルクリックから実際に立ち上がるまでに,ちょっとしたタイムラグがあります。なにをやっているのか分かりませんが,「あれ」という違和感がついて回ります。これはあまり気分のいいものではありません。

 それでも,OSの起動も比較的高速ですし,安定して動作していますから,そこそこのCPUに大きなメモリとHDDを装備したマシンがこのくらいの価格で手に入るというのは,良い時代になったものです。

 発熱については期待通り少なく,測定してはいませんがトータルで40W程度の消費電力というのは本当のようです。近頃のBDレコーダだってこれくらいの電力は消費しますから,24時間稼働をすることがあっても,そんなに電気代を気にしなくてもいいでしょうし,冷房を強める必要もないでしょう。

 ファンは低価格機だけに心配でしたが,予想以上に静かでした。このあたりの感覚は人によりけりだと思いますが,もう少し静かなファンに交換するともっと良くなるように思います。深夜になると風切り音が少々耳障りでしょうか。

 むしろ,HDDのシーク音が金属の筐体に響いて耳障りなのは残念です。アクセスランプを見なくてもアクセスの具合が分かるという無理矢理な利点もなくはないですが,やっぱりゴロゴロと音を立てるのはいいものではありません。(アクセスランプも真っ赤なので結構無粋です)

 ということで,一応マシンは完成しました。画面周りの速度の遅さが気になるので,高速なマシンを普段から使っている人にはつらいように思いますが,なんといっても消費電力が小さいですから,許してあげましょう。

 さてさて,残るは地デジチューナーです。

 SKNETの定番,MonsterTVシリーズのなかで,USB接続型WチューナーのHDU2を買いました。約15000円と微妙な値段だったのですが,昔から予約がバッティングして悲しい思いをすることがあった私としては,Wチューナ-のゆとりをぜひ感じてみたいと思っていました。

 これをまずは標準状態でインストールです。問題なく動作します。少なくともこの状態で,明日からアナログ停波になっても私は難民にならずに済みます。ただ,ちょっと重たいです。このマシンスペックでは,コマ落ちがあります。

 それと,私は川崎に住んでいるのですが,TVKが入ったり入らなかったりします。ちょうど当落線上にあるような感じです。ただ,ほかのチャンネルも受信はできていても,十分なレベルであるとは言い難いので,集合住宅には欠かせないと言われる室内用のアンテナブースターを導入することを考えています。

 んで,せっかくのHDU2ですから,xxxをyyyしてzzzするととても幸せになれるわけです。このマシンスペックでどこまで出来るかは分かりませんが,ちょっと頑張ってみようと思います。

 つくづく思うのは,もう地デジというのは,家電の域を超えたものなんだなあということです。流れてくるデータのフォーマットに始まり,そのデータをどう処理して画像を得るかまでの流れを考えると,やってることは情報処理そのものです。

 かつて,PCをビデオレコーダにするのが流行りましたが,この頃はビデオデッキや当時で始めたDVDレコーダという家電品をPCが模倣するという感じでしたが,今回地デジシステムをPCベースで検討するにあたり,むしろ家電の中身がPCになっているという実感を持ちました。

 少し前の子供に,テレビの原理を教えてあげるのは,難しいものではありますが不可能ではありませんでした。しかし,デジタルTVはもう子供には理解不能でしょう。粒度の問題ですから,子供達にわかるレベルで教えることは可能でしょうが,果たしてそれで原理を語った事になるのかどうか。私には自信がありません。

なんだか知らんが最近モバイルブームになっている私

 AdvancedW-ZERO3[es]を今さらながらに手に入れました。

 先日W-SIMを手に入れたわけですが,その利用価値を高めるために,以前からなんとなく欲しかった(実はとてもうらやましかった)W-ZERO3シリーズを使ってみようと思い,差がしてみることにしたことが始まりです。

 ヤフオクをざっと見てみましたが,大体相場はAdvancedW-ZERO3[es]で1万円ちょっとくらいのようです。私の場合,ヤフオクは有料会員ではありませんから入札は難しいのが現状です。そもそもオークションは現物も見られませんし,動作確認も出来ません。安く買えても外観やLCDの傷,キーの状態や汚れなど写真ではよく分からないですから,ちょっとためらいがあります。(安くではなく高く買ってこれだと泣きたくなりますし)

 あと,ヤフオクは,どうも喫煙率が高い様な気がして,私の場合大概たばこ臭くて困ります。古本はやっぱりちゃんとした古本屋で買うに限りますね。

  てことで,連休中に実家に帰省した際に,日本橋の中古屋さんをぶらぶらしてみました。案外取り扱いが少ないのでがっかりしたのですが,こういう場合はやはりソフマップ,複数の在庫があるのはここだけでした。

 値段はざっと17000円から18000円というところです。程度の悪いものは14000円くらいからあるようですが,AdvanceではないW-ZERO3[es]が7000円くらいで売られているのを見ると,果たしてAdvanceに1万円の差があるのかどうか,ちょっと悩んでしまいます。

 と迷っているのもなんなので,店員さんに話を聞きます。彼もAdvancedW-ZERO3[es]のユーザーだそうですが,ユーザーとしてはやはりAdvanceの方がおすすめだと。私が気にしていたWindowsMobileのバージョンが6になったこと,CPUクロックが上がったこと,メモリが増えたり画面の解像度が高くなったり,無線LANが入ったりしたことは,彼にとってはそれ程大したことではないようでしたが,大きさが小さい事,電池がよく持つ事については,従来機種との比較というわけではなく,この機種の気に入っている点だ,という話でした。

 棚を見ると,12800円という値段で出ているものがあります。見れば電池の水濡れシールが変色しているので,電池の保証無しという品でした。本体は他と同じく1ヶ月間の保証ですので,電池だけがリスクということになります。

 事情を聞いてみると,電池の水濡れがあることは評価を下げるポイントらしく,それがわざわざ安くしている理由なのだそうですが,参考までの彼の私物のAdvancedW-ZERO3[es]の電池も,水濡れシールが変色していたのを見て,二人は声を出して笑ってしまいました。まあ,ポケットに入れておくと湿気で変色するものですからね。

 それに発売から2年も経過する商品ですから,電池に保証があってもまともに使える期間はそれほど長いとも思えません。6000円以上もする電池をどうせ買い直すなら,単価が安い方が得でしょう。

 とはいえ,13800円のまともな中では最安の商品も気になります。見せてもらうともう傷だらけ。スタイラスが欠品している上,申し訳ないですが不潔感すら感じます。それに引き替え12800円のものは程度も良く,多少の塗装の剥げくらいで欠品もなし。

 シリアルナンバーも12800円の方が随分新しいようで,買うならこっちだなあと判断し,12800円のものを買いました。電池が切れていたので起動させることは出来なかったですし,そもそもちゃんと充電できるのか不安ですが,まあ大丈夫でしょう。

 実家に持ち帰り,充電を始めてみると,3時間ほどで満充電です。ちゃんと起動しますし,W-SIMを差し込むと問題なく通信も可能です。電池の持ちも長いとは思いませんが,実用十分な長さです。3時間ほど使って電池残量が75%ですので,無保証にしては立派なものでしょう。

 実家では満足なネットワーク環境も資料もありませんから,ソフトのインストールもカスタマイズも出来ず,基本機能で試行錯誤することしかできなかったのですが,2日ほど使って慣れる時間があったことはかえって良いことだったかも知れません。

 800x480の美しい液晶は大変見やすく,まるで印刷物のようです。ざっと計算して311dpiという高解像度は,もう十分印刷物のクオリティです。Today画面が現れたときには,一瞬「おっ」と思わせる驚きがあります。

 WindowsCEがルーツのOSですので表示は簡素で,操作することへ楽しさや見た目の満足感は希薄ですが,なんといってもPCではなく,一昔前の携帯電話サイズでPC向けのメールやWEBブラウズが,特にストレスもなく可能になってしまうことは,ちょっとした感激を覚えました。

 また言うまでもなく,24時間繋ぎっぱなしが許されますから,繋がっているという安心感があります。携帯電話では当たり前な感覚ですが,携帯電話とPCの間を埋めるマシンとして,そのいいとこ取りを実現したマシンと環境に,これまで知らずに来たことを悔やみました。

 しかし,WindowsCEですから,やっぱり使いにくいです。軽快感もありません。やりたいことに届くまでのステップがいくつも必要で,到達感(と満足感)への距離がなかなか遠いように感じられます。そこでカスタマイズが必要です。

 自宅に戻ってきてから,途中で購入した本と,先人達の貴重な経験を参考に,カスタマイズを行います。

 特に,HOLDスイッチとサスペンドを連動させる機能は必須で,これがない時に,サスペンドに入る時と入らないときの違いが分からず,いろいろ実験してネットワーク接続が切れないとサスペンドに入らないことを知りましたが,切れてしまった接続を再び繋ぐのが結構面倒で,これら一連の動作を自動化してくれるユーティリティは,手放せません。

 skype,ファイルブラウザ,エディタ,FTPクライアント,ターミナルエミュレータ,時刻同期などのアプリケーションを一通り入れて動作の確認を済ませるのに数日かかりましたが,どうしてもGoogleTalkのクライアントにいいものが見つかりません。チャットはskypeでやれ,ということでしょうか。

 そして驚いたのがPC-9801エミュレータです。15年前に使っていたPC-98RLからBIOSを抜き出し,当時のHDDのイメージをPC上のエミュレータで使っていたのですが,AdvancedW-ZERO3[es]上でもちゃんと動くんですね。伊達に500MHzオーバーのCPUではありません。さすがです。

 最後に禁断のクロックアップ。PXA270のレジスタをいじってクロックを変更するユーティリティがあるので試してみました。

 体感上はっきり違いが分かるのは,クロック650MHz,RAMが130MHzの時です。LCDが65MHzに落ちるせいもあるのでしょうが,なかなか軽快です。ただしLCDクロックが標準の104MHzから変わるせいで,カメラは正常に動作しません。

 そこでCPUが648MHz,RAMとLCDが104MHzの設定にすると,カメラは問題なしですが,今ひとつサクサク感が削がれます。今時のSDRAMはほとんどが133MHzまで動く物ですから,RAMの速度が133MHzにならないことはもったいないので,カメラを犠牲にして,私はあえてRAM130MHzの設定で使う事にしました。安定して動作するので助かります。

 そうして実運用に入ったわけですが,思いの外快適です。メールの取り込みと削除はすべてキーの操作で出来るようにしましたから,まるで携帯電話でメールを取り込むかのような気軽さで,PC用のメールをささっと確認出来ます。

 WEBはまだ重たいですが,これはPHSの回線の細さもあります。そこで以前,自前のサーバーに置いた携帯電話向けデータ量削減スクリプトを通してアクセスするようにしてみました。

 自前のサーバーですから,自宅内なら問題なしですが,外部からだとADSLの帯域の細さが問題になりそうですが,PHSがそもそも128kbpsですのでここがボトルネックです。実際,このスクリプトを経由すると,重いサイトでも軽快にブラウズできます。元々PalmTX用に立ち上げたものですが,こんな事で役に立つとは思いませんでした。

 そのサーバーにSSHで繋がるようになると,もう感激です。日本中どこからでもこのサーバーをメンテ出来るなんて夢のようです。ただし,落としたり盗まれたりしたら最悪ですから,気をつけないいけません。

 ということで,あまりいじりすぎると不安定になりますし,不満なところはほぼ改善されましたから,このくらいでカスタマイズはやめておきましょう。

 こうして,私のモバイル環境は劇的に進化したわけですが,この環境が2年間の期限付きであることをふと思い出し,その頃にはどんな環境が使えるようになっているのかなあと,そんな風に考えました。

 2年後,128kbpsという速度が主流として使われていることはないでしょうし,かといって高速なサービスが高価なままでは,私のようなユーザーはモバイル環境を手放すしかありません。遅くてもないよりまし,という考え方で言えば,ひょっとすると今の環境が一番恵まれていると言うことになる可能性もあります。

 携帯電話との融合が果たせればそれが一番よいのですが,毎月980円というコストで携帯電話がPC並みに使える世の中は来ないような気もしますから,願わくは遅くてもいい人向けに,980円を維持してくれるとありがたいかなあ,などと思います。

 気になるのはiPhoneの動向ですね。もしiPhoneがDoCoMoに来て,使い放題が1ヶ月4000円までなら切り替えたいところですが,さすがにそれはないかなあ・・・

 2年間は嫌でも使い続けないといけないPHSです。しかしAdvancedW-ZERO3[es]が想像以上によい端末だったので,この2年間は快適に過ごせそうな気がします。

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