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リコーのGXRが作る素晴らしき世界

 リコーから発表になった新しいコンセプトのデジタルカメラ,GXRを取り上げないわけにはいきません。

 名前の由来として,同社のコンパクトデジカメGXシリーズと,かつて同社が発売していた一眼レフ銀塩カメラXRシリーズをあげたあたり,ついついニヤニヤしてしまうオッサンとしては,XRシリーズの面白さってなんだったかなと考えてしまいました。

 XRはKマウントのカメラで,ペンタックスの豊富なKマウントレンズを使う事の出来る,非常にコストパフォーマンスの高いカメラでした。基本性能に特化し,普段余り使わない機能や性能にはお金をかけず,お金のない高校生なんかにユーザーが多かったように記憶していますが,これはこれで重要な価値がありました。

 ボディは基本性能さえしっかりしていれば,そんなに高価なものはいらないというのが私の考えです。高価なボディにはそれなりの理由もあるし,持っていてうれしくなる精神面での寄与が良い写真を生むトリガになるのも事実ですから,高価なものを否定する気はありません。

 しかし,ボディよりも,レンズが支配する割合が大きいのが銀塩写真の世界ですので,あの個性豊かなKマウントのレンズが,あんなに安い値段で使えるなんて,なんてうらやましいカメラだろうとXRシリーズに感じた事は,実は何度かありました。

 これはつまり,GXRシリーズの面白さに繋がるといえるのですが,GXRは撮像素子と光学系を1つのパッケージにし,ボディには画像処理エンジンとストレージ,そしてディスプレイと操作系を担わせたものであるわけで,レンズの交換によるメリットと共に,ボディ側の進化やシリーズ展開が期待できるということです。

 リコーも含め,報道でもこの点はあまり積極的に触れていないように思うのですが,私はこれを強く期待したいです。(そのためには長くこのシステムを継続してもらわねばなりませんし,魅力的なレンズユニットが登場することが必須ですけど,これは大丈夫なような気がします)

 つまり,耐環境性能に優れた完全プロ仕様のボディや,超大容量のストレージを内蔵したモデル,超高速化や超高画質化という流れもあるだろうし,電池寿命が極端に長いモデルもありでしょう。もしかすると2つレンズユニットを取り付けてステレオ撮影が可能なモデルもありかも知れません。

 逆に,液晶画面も小さく,耐久性もやや低い安いボディというのもいいですね。最初にこうした廉価版を買っても,後で高級なボディに買い換えるというステップアップも出来ます。

 製造の難しい光学系を電気信号で分離したことで,もしかすると他社の参入もあり得るかも知れません。こればかりはリコーの考え方によるでしょうが,各社の画像処理エンジンの性能差による画造りの差を楽しめたりするかも知れません。

 コンパクトデジカメを作る力があれば,このレンズユニットを作る事が可能という点で,こちらも様々なメーカーの参入が可能でしょう。光学系の製造は出来ても,画像処理はまだまだ,という海外メーカーは多く,それこそCarlZeissのような高級品から,旧ソ連のレンズのようなマニアックなレンズまで,それこそいろいろな可能性が出てくるように思うのです。

 これはもしかして,M42のレンズ沼になる可能性が・・・いや,それはちょっと気が早すぎるか。他社の参入があった時点で,その夢を膨らませることにしましょう。

 いずれにせよ,システムカメラとして一歩を踏み出す決意が,最初に50mm相当のマクロレンズをAPS-Cサイズの撮像素子で用意したあたりでうかがえるのは,私だけではないと思います。その長く険しい,容易に撤退することを許されない世界に飛び込んだ英断を賞賛したいと思います。

 技術的には,1つのパラダイムシフトといって良いと思います。レンズとボディは,連動無しから機械式連動になり,やがて電気信号を用いるようになりますが,ここまでは光学系と制御系が分離していました。

 しかしGXRではこの光学系についてもレンズで完結し,制御系共々電気信号に統合してボディに伝達するという,1つの到達点に来たように思います。

 このことによって,光学ファインダーを捨てることになってしまいました。逆の言い方をすると,光学ファインダーのせいで,光学系を電気系にまとめることが出来なかった,とも言えるかもしれません。

 電気信号になってしまうと,もうなんでもありです。

 レンズユニットとボディの接続に無線を使ってしまえば,レンズとボディは一体である必要さえなくなります。TCP/IPを実装すればインターネットに繋いで,世界中のレンズユニットと接続出来ます。距離という物理的な壁を越えるのです。

 レンズユニットから無線LANでPCにつなぎ,PCでボディを代替する方法もありですね。PCの巨大な演算能力をもってすれば,もはや何だって出来ちゃいます。

 いやー,夢はドンドン膨らみます。

二子玉のライカ

 すでにプロの道具としてより,お金持ちの道楽となって久しいライカですが,写真を楽しむ人間の間に横たわるライカ原理主義には,確かに抗いがたいものがあります。

 こういうことを言っているのも日本人だけのような気がしなくもありませんが,ライカ自身も自分達の製品のどこが支持されているかをよく分かっているので,そこから外した製品を作ってこないところは,さすがだなと思います。イタリアもドイツもフランスも,それぞれ相容れないほどの個性があるのに,こういうところは共通していますよね。

 私はライカには今ひとつ魅力を感じない人で,つくづくNikonとPENTAXの国に生まれた良かったと胸をなで下ろしているのですが,世界で最初の直営店を銀座にオープンしたというニュースを聞いたときには,ライカもよく分かっているなあと感心したものです。

 さて,続く2号店が出来るというので聞いてみると,なんと二子玉川の高島屋です。

 確かに世界中のブランドが軒を連ねる二子玉の高島屋ですが,だからといってライカの直営店を出してどうすんのかなと,興味というよりに心配になりました。Nikonが御殿場にアウトレットモールを出すのとは訳が違います。

 そのオープンが先週だったので,この土曜日に偵察してきました。

 まず,やや薄暗く照明を落とした上質な内装,ぴしっとした服装の店員が,一見さんを遠ざけています。展示された品物はすべてガラスケースに入っており,手に取ってみることなど全然出来ません。カタログは完備されているようですが,同時に写真集なども用意されており,こういうところをちゃんと押さえているところに好感を持ちました。

 でも,まるで宝石店のような値札と,宝石に匹敵する値段のカメラが鎮座していますが,これじゃますますここでライカを買うのは難しいんじゃないでしょうか。

 扉などもなく,非常にオープンなスペースではありますが,その入りにくさは通りすがりに目で追いかけるのがやっとという雰囲気です。仮に用事があっても,一度足を止めると,また翌日に来る羽目になるでしょう。

 うーん,中学生の時にはじめてエロ本を買った時を思い出しますね。

 しかも,お客さんは誰もいません。

 私は,彼らの放った「貧乏人は来るな」オーラに強い向かい風を感じ,すっかり戦意を喪失しました。まさにATフィールド。この見えない壁を越えた人は,どれだけいるのだろうか・・・そこにあるのは屍です。

 最初から一人で入るのは無理とふんで,友人に一緒に来てもらいましたが,すっかり戦意を喪失した私は友人の方を見て「やっぱ無理だわ,せっかくだけど帰ろうか」と尻尾を巻いて逃げるつもりで横を向くと,いつもの間にやら彼女は私のはるか先を歩いてグングン店に近づいています。

 おいおいおい・・・と手を伸ばした時には,彼女はすでにお店の中にいました。なんと突入成功です。いやはや,カメラマンはファインダー越しなら怖いものがなくなるといいますが・・・

 やむなく私も彼女の後を追いかけて店内に入ります。

 お店には私と彼女の二人だけです。しかし明らかにライカを分かっていない人丸出しで,しかもお金の匂いの一切しない貧乏人であることが見透かされていますから,店員さんも無理に声をかけてこようとはしません。

 私も,カメラとレンズがいくつか展示されている程度だと見るべきものも少なく,店に入ったことを本気で後悔したほどでした。はっきりいって,秋葉原の真空管専門店の方が100万倍楽しいです。

 実は,レンズキャップやボディキャップなどのちょっとした小物が確実に手に入る場所として期待している所もありました。しかし,仕立ての良さそうな高価な革製のカメラケースがいくつかあった以外に,そうしたオプションのたぐいがあるような気配もなく,もしかすると言えば出てくるのかも知れませんが,そもそも尋ねにくい空気が充満しているので,はっきりいって電車で新宿までいった方が楽です。

 私は,はっとしました。

 このアウェイな感覚はなんだ,と。

 これをホームと思える人でないと,ライカを買う資格はないのか。その価値を認めるだけでは全然足りないというのか。

 無邪気に「これなに~」と私に聞く彼女の背中を押し,私は頭の中を真っ白にしながら,そそくさとお店を後にしました。撤退です。

 しかし,一矢報いたと思うのは,私たちが店に入った後,数人続けて店に入ってきたことです。みんな興味はあるんですね。入りたいとも思っているんですね。でも,やっぱり入りにくいのです。誰かがいればそれでも入りやすいんでしょうが,誰もいない所に入り込んでいくのは,二子玉川のような場所だからこそ難しいのです。

 窒息寸前で意識が朦朧としている私は,近くにあるカメラのキタムラに逃げ込み,NikonとPENTAXの中古品に囲まれ,その傷を癒しながら,「ここが私の居場所だ」とつぶやいて,2800円のレンズを買うかどうか迷っていました。幸せを噛みしめていました。

 真面目な話,銀座の直営店が出るとき,売れなくても儲からなくてもいいと言う事でしたから,ライカとライカのカメラを見てもらう機会を作る事,現在の顧客はもちろん将来顧客になりそうな人,あるいは顧客になる条件を備えた人の貴重な意見を吸い上げる場所として機能することが,最重要なのだと思います。

 すでにライカを持っている人,あるいはこれからライカを負う人にとって,サロンのような役割が期待されているのだと思いますが,ヨドバシやビックでカメラ自慢をするじいさんがこういうお店に吸収されてくれると,我々のような買い物客は待たずに買い物できるなと思いました。

 ただ,私のような人でさえ,ライカがとっても格好良く見えました。これは事実です。M8もM9も実にかっこよかったですし,無骨なS2も実物は流麗で,手に取ってみたくなりました。X1も展示がありましたが,写真よりもずっと格好良く,特に上からの眺めが実にいいです。値段によっては買ってもいいかなと思わせる魅力があります。

 レンズも双眼鏡も展示がありましたが,やっぱり高いです。ただ,その重厚さは手に取るまでもなく,見ているだけでも十分に想像が付きます。そして,フードが格好いい。ライカの角形フードはなんであんなに格好いいんでしょうね。

 かつて,ライカのM3は業界を震撼させ,特に「俺たちはライカに迫った」と勘違いをしていた日本のカメラメーカーを,完膚無きまでにたたきのめしました。

 ライカとM3に恐れをなした日本のメーカーは,しょんべんをちびりながら,ライカが手を付けていなかった一眼レフに逃げ込みます。ライカは王者の風格で,敗走する敵を追う事はしませんでした。

 しかし,ここで敵を逃がしたことが仇になり,大量生産技術と電子化技術でカメラを高級品から日用品にした日本のメーカーに,ライカは土俵際まで追い込まれてしまいます。

 ミノルタがライツと技術提携した際に,ミノルタの社長が恩返しのつもり,と言ったことはよく知られたエピソードですが,この時,果たして日本側に奢りはなかったでしょうか。

 自動車メーカーと同じく,資本が入れ替わり立ち替わり,そのオリジナリティを維持するのも苦しかった時代があったと思うのですが,Mシリーズをデジタルカメラのブランドとすることで明確なメッセージを発信した覚悟はすばらしく,今のライカは良いスタンスを保っているなあと感心しています。

 私の場合,一生オーナーになる事はないと思いますが,その輝きを失わず,今いる顧客を大事にして,写真の歴史と文化にこれまでと同じ足跡をきちんと残して欲しいと思います。

ああコダクローム

 いよいよこの時がやってきたという気がします。そう,コダクロームがいよいよ製造中止になるそうです。

 日本での販売中止の際にもちょっとした祭りになりましたが,それでも製造は継続しているし,アメリカでは手に入り,現像だってアメリカで出来ましたから,いざとなればコダクロームを使う事は不可能ではないと,一種の安心感を伴っていたことは間違いないと思います。

 しかし,今回は本当に終わりのようです。私が読んだ記事では,2009年で提供を打ち切る,現状の消費ペースでは今年の9月頃までは手に入るだろう,と書かれていました。また,世界で1つしかない現像所である米Dwayne's Photoは,2010年中は現像を受け付けるということでした。

 この表現がちょっと微妙だなと思うのは,今年いっぱいで提供をやめる,ということです。すでに新規製造は行わず,今仕込んでいる分を作り終えたらもうオシマイですよ,という意味で,残りの数は決まっているから,遅くとも今年中に売り切れてしまうだろう,という感じのニュアンスです。

 せめてもう1年続けてくれれば75周年だったのですが,もう1年維持することも難しいという事でしょう。報道では売り上げが下がってしまったということを理由に挙げていましたが,こういうケースでは製造設備の老朽化も原因だったりしますので,1年の延命というのはなかなか難しいものがあったりするのかも知れません。

 製造が難しく,バラツキも経年変化も大きなフィルムで,かつ現像も特殊で複雑ななプロセスを必要とする一方で,抜群の耐久性と保存性能の高さで貴重な記録を長く残せること,そして世界初のカラーフィルムとして登場以来世界中の光を取り込んで来た事で,どれほど情報の伝達と保存に貢献してきたかはかり知れません。

 以前にも書きましたが,コダクロームの欠点は工業製品としては容認できないものであり,それらが改良されて行くことは正しい進化の過程です。世の中見渡してみると,便利で性能の良いものが生まれれば,それ以前のものは淘汰されていくものです。

 しかし,コダクロームには,それら欠点を補って余りある魅力がありました。工業製品として,あるいは経済原理だけで判断されない,芸術や文化と言った側面にまで,コダクロームが根を下ろしている証拠でもあります。

 本来,外式の欠点を克服するために生まれた内式のリバーサルが登場した時に,外式であるコダクロームはなぜ消えることがなかったのか,また世界中で内式と外式の両方の製品を持ち続けたのはコダックのみだったのはなぜか,少し考えてみるよい機会なのではないかと思います。

 内式外式,ネガポジ,カラーモノクロにかかわらず,そもそもフィルムの使用量が激減し,いつなくなってもおかしくない状況にあります。文化と芸術に影響のある工業製品が淘汰されることが本当に容認されることなのか,だからといってメーカーだけが負担を強いられることが正しいのかも考えなければならないところまで来ているように思います。

バケペン

 昨日少しだけ早く帰宅した私は,足下の箱に入っているバケペンに目をやりました。まあ,すぐに修理が出来るわけではないけども,どんな様子かさっと見るだけ見てみようかと思って,あちこちいじり回しました。

 昨日のオリンパスペンEEDと違って,こちらは相当使い込まれています。汚れもひどいですし,程度も良くないような印象です。プロ用のカメラなのですから酷使されていて当然ですが,不思議とラフに扱われた感じはないんですね。

 ボディマウントキャップを外してみると,ミラーが半分上がった状態です。一眼レフでミラーが中途半端な状態で止まっているのを見るほど,嫌なものはありません。しかし,バケペンの場合,電池がないのにシャッターを切るとミラーが半分くらいで止まり,シャッターは開きません。まあこれはこれで良い仕組みですね。

 しかし,本当に壊れているのかも知れません。

 あと,困ったなあと思うような破損もありました。バケペンはファインダーを取り外すことが出来るのですが,外したところから銅か真鍮のチェーンがだらーっと垂れ下がっています。

 手持ちの本で調べて見ると,これは絞りの情報をファインダーに伝達するための仕組みだそうです。私の個体はTTLファインダー付きでしたので,ファインダーに内蔵された露出計に,絞り情報を伝達する仕組みとして利用されていたはずですが,チェーンが切れてしまっているので,まったく機能しないと思われます。

 手始めに,このチェーンの様子を確認してみました。

 見事に途中で切れています。なぜこんな風に切れたのか分かりませんが,プーリーにかかる部分が切れていることから察するに,プーリーからチェーンが外れてジャムったところで,無理に絞りリングを回したとか,そういうことではないかと思います。

 切れたチェーンをどうやって修理するかですが,潔く交換したいところです。太さ1mm程のチェーンがあればいいんですが,少なくとも手元にはありません。幸いハンダが乗る素材ですから,チェーンの輪を1つ開いて,切れたチェーンを繋いでハンダ付けしてみます。

 一応うまくいったのですが,組み立て後何度か連動機構を動かしているうちにまた切れてしまいました。再びハンダ付けをしたのですが,ハンダ付けでは思った以上に強度が不足しているのかも知れません。

 続けて,シャッター機構の確認です。電池の代わりに電源器を6Vの設定して繋いでみますと,なんとまったく問題なく動いています。シャッターダイアルの設定でシャッター速度も変わっています。1秒のはずが0.8秒くらいなので,調整は必要でしょうが。

 また,ミラーの開閉が粘っています。開くときはいいとして,閉じるときにゆっくり落ちてきます。油ぎれか,腐ったモルトでしょうね。

 シャッターについては,少なくとも電気系は無事です。メカもそんなに複雑ではないので,ばらして掃除して給油するくらいはなんともないと思います。難しいのは調整でしょうか。

 とにかく,あちこち動きがとにかく渋い。全バラシをしないといけないのでしょうが,今の私にそれに取り組む覚悟がまだ出来てません。あと,気をつけたつもりだったのですが,取り付け場所不明のスペーサが2枚ほど出てきてしまいました。これでもうフィルム面もしくはフォーカシングスクリーンとの平行が確保出来なくなってしまいました。ああ,なんたる失敗。

PENの四角いシャッターボタン

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 かつてminoltaCLEの故障品(断じてジャンクではない)を気軽にチャレンジして下さいと,快く私の修理技術向上のために提供して下さった方が,またありがたいことに要修理品を提供して下さいました。

 思えば,辛く支えを失った時機にも,へし折れてしまわなかったのは,自己表現と自己主張としてのカメラ修理に没頭したことと,これをいろいろな形で支援して下さった方々のおかげです。

 今もどん底の状態で夢も希望もありませんが,どん底も慣れてしまえば都です。人間というのはかくも都合のいい生き物かと思います。

 CLEは私の修理カメラの中でも,非常に意味のある1台です。Mマウントレンズが使える距離計連動型のカメラで,今なお人気の衰えない憧れの名機であったことはもちろんですが,メカではなく電気回路が故障していたため通常の修理が不可能であった状態から,同じ働きをする回路をPICマイコンで作り直して復活させたという,マイコン応用工作技術の数少ない実用例でもあるのです。ゆえに愛着も大きいものがあります。

 距離計の調整も経験しましたし,コシナの安物レンズばかりとはいえ工作精度の良い金属鏡筒の質感を連動する距離計と共に楽しんだり,レンジファインダー機ならではの対象型広角レンズを使ってみたりと,一眼レフとは別の世界に足を踏み入れた点でも画期的でした。

 機材が増えすぎた(防湿庫がいっぱいになった)ことで最近ジャンクカメラの保護とレストアは自重気味な所があったのですが,未知の分野として残っていたのが,ハーフサイズと中判です。

 中判はしゃれにならないので手を出さずにいるつもりだったのですが,ハーフサイズについては,かなり本気でした。というのも,かつてサムライZのレストアに失敗しているからです。

 あの時は,レンズがダメだったんですよ。カビかなと思っていたら,貼り合わせガラスのバルサム切れだったというオチでした。結局それが分かるまで分解を続けた結果,組み立て直す気力も失せて,その日のうちに廃棄したという苦い記憶が甦ります。あれ,5000円ほどもしたっけなあ。

 何年か前,ハーフサイズのブームが起きて,その代名詞であるオリンパスペンの人気が再燃,価格も高騰したことがありました。今は落ち着いているような感じですが,ハーフサイズのカメラには「ハーフサイズであること」以外の魅力にあふれたカメラが多いのも,とても面白いことだと思います。

 そんなわけで,オリンパスペンを機会があるごとに見てはいたのですが,そこそこの程度のものでも結構なお値段で,逆に安いものは復活させられそうにないくらいの程度の悪いものしか見つけられず,お手頃なものがなかなか見つかりませんでした。

 そこへ,先程のCLEの方から,突然の申し出を受けます。送られて来た段ボール箱に入っていたのは,オリンパスペンEEDと,なんとアサヒペンタックス6x7の2つ。

 いやーこれが「バケペン」ってやつか,まぢで化け物だなこいつは,などと6x7を手に取り,思わず及び腰になります。

 そしてその脇にあった,ボクシーで小綺麗なカメラが,ペンEEDでした。

 あれ,ペンってこんな形だっけ?

 そんな風に思ってgoogle先生に相談してみると,なんでもEEDは高級機で,F1.7の明るいレンズにオリンパス謹製の絞り兼用シャッターとプログラムAEを搭載したものだそうです。しかし形は他のペンとはちょっと違っていて,丸みがなく角張っています。このあたりが異端児と呼ばれるゆえんなのでしょう。

 またレンズは意欲的なスペックですが,当時の工作精度から当たり外れがあるらしく,これがこのレンズ(というかカメラ)の評価を二分する理由になっているのだろうという意見もありました。確かにこのレンズの描写については,いいという人と今ひとつという人に別れているように感じました。

 高級機であったにもかかわらず,生産台数は非常に多いという事ですが,しかしあまり中古店の店先で見ることがないんですよね。

 個人的に,このEEDは手に取った瞬間からとても気に入りました。カメラらしさは大きなレンズにやどります。ややオフセットしたレンズを,直線が取り囲むデザインはシンプルでとても綺麗です。技術的に好ましいと思ったのは,セレンではなくCdSを使っていることでしょう。セレンはもう修理出来ませんし,代替品を探すのも面倒です。CdSならストックもあるし,使い慣れています。壊れてもなんとかなります。(ついでにいうとレンズの周りにあるセレン用の複眼が苦手です)

 送って下さった方のコメントによると,電池を入れても動作しない,赤ベロが出るとのこと。赤ベロ?

 ペンEEDは,測光結果が撮影可能範囲を超えてしまうと,ファインダーに赤いベロを出してシャッターボタンをロックします。(この状態でセルフタイマーを動作させてしまいどうにもこうにもならなくなって慌ててしまったのですが,現代ならこの設計はNGでしょう)

 これを赤ベロというそうですが,電池が切れている場合も同様になります。測光系に異常があるのではないかというのがその方の意見です。なるほど。

 外観はスレなど使用感もありますが,その割には小綺麗になっています。なかなか程度が良さそうに見えますが,これは後で謎が解けます。

 レンズはカビも傷もなく,とても綺麗です。変色もヤケもなく,まるで新品のようです。いつもそうなのですが,レンズを見ると,どんなに忙しいときでも修理をしようとやる気がわいてきます。しかし,レンズの正面には分解痕があります。この固体は既に誰かに分解されていますね。中古屋に出すこともオークションに出す事も,控えねばなりません。

 ファインダーは内側がやや曇っているし,ゴミも入っています。掃除が必要でしょう。

 絞りをAUTOにせず,固定にするとマニュアルでシャッターが切れます。速度を変える手段がないのでストロボ撮影用です。動作させてみるとガバナーの音が目立ちますが,一応シャッターはちゃんと切れるようで,ありがちな羽根の固着もないようです。速度が出ているかどうかはわかりませんが,ガバナーのきき具合から考えると,1/15秒とかそれくらいでしょうか。

 さっと表面の汚れを拭い,電池ケースを開けてみますが,液漏れもなく,目視で怪しい部分はありません。これは本当に内部の電気系が死んでいるのかも,と思いながら,電源器を1.5Vに設定して繋ぎます。やはり動作しません。やっぱり電気系かぁ・・・

 電池ケースの断線もあるだろうと底板を外してみるのですが,期待に反して電池ケースの断線はありません。ハンダできっちりくっついています。

 接触不良の可能性もあるなと,この配線に直接電源器を繋いで試してみると,なんとあっさり動いてしまいました。

 明るさに応じてシャッター速度も変わるし,絞りの開度も変わります。

 ということで,本体は分解をしなくても良さそうです。せっかく中身を勉強するチャンスだったので,内心残念な気持ちもありましたが,ちゃんと使えそうな個体を無理に分解して壊してしまうかもしれないというのは,私の考え方には沿いません。

 各部の清掃をしましょう。軍艦部を外します。油はもう切れているような感じですが,清掃を必要とするような汚れもなく,大変綺麗です。ただ,CdSの受光窓に貼られたモルトは腐ってボロボロになっていました。ささっと張り替えます。

 ファインダーを外し,綿棒を使って清掃します。曇っていることも考えましたが,幸いそれもなく,綺麗になってくれました。ASA表示とフィルムカウンターの表示窓を磨いて,綺麗になったところで軍艦部は終了。

 続いて底部です。本体内部に貼られた遮光用のモルトはこちらも腐っているので,張り替えることにします。約40年経過していますから,当時のモルトがダメになっているのは当たり前の話です。

 そして問題の電池ケース。どうすれば確実に通電できるかを考えたのですが,マイナス側に接触する金属のバネと,これを固定する真鍮製のビスを直接ハンダ付けしてしまえばよいのではないかと考えました。

 しかし大失敗。なかなかハンダが付かず,電池ケースが熱に耐えきれず溶けてしまいました。もうビスでバネを固定することができません。

 仕方がないのでバネとビスを外し,先にハンダ付けした後,電池ケースの別の場所に穴を開けて固定する作戦に切り替えます。しかしここでも失敗。どうもこのバネはステンレス製のようで,ハンダが乗らないのです。

 さて困った。ここで私はステンレス製のバネに通電性を期待せず,あくまでバネ性だけを頼ることにしました。通電はリン青銅板をバネと同じサイズに切って重ね,ここに直接ハンダ付けした導線で確保します。

 もともとMR9という水銀電池など使うつもりもないので,SR44の縁に1.5mmくらいの厚みのスポンジテープを巻き付けて代用します。

 長めのビスに交換し,電池ケースに穴を開けてバネを固定し,脇にもう1つ開けた穴から導線を通してハンダ付けします。これで理屈の上ではばっちりなはずです。

 電池の底と縁でショートしないように絶縁テープを貼り付け,一応の対策を行ったあと組み立てて確認すると,問題なく動作してくれています。

 問題なく,とはいいましたが,露出計の値を読み取ることが出来るわけではないので,あくまで明るさに応じてシャッター速度と絞りが変化していることを確認しているだけです。それっぽい感じで変化しているので,そんなに大幅にずれているという感じはしません。

 センチュリアの生産が終了して,安いフィルムのユーザーが難民としてさまよい歩く昨今,36枚撮り一本で72枚も撮影できてしまうハーフサイズカメラは,登場時の「フィルムを大事に使う」という本来の目的で,再び評価されるようになるかも知れません。

 考えてみると,デジタル一眼の主流であるAPS-Cサイズというのは,ハーフサイズと似たような大きさです。35mmフィルム換算の焦点距離にするのに,どちらもざっくり1.5倍します。もしかすると,このあたりの大きさが古今東西,経済的合理性によって収れんした結果なのかも知れないですね。

 さて,一通り動作確認をし,清掃を終えて,最後の仕上げに裏蓋のモルトを交換します。さぞボロボロになっていることだろうと思っていると,意外にしっかりしていて,綺麗です。さすがに弾力は失われつつあるようですが,遮光機能は十分果たしそうな感じです。

 ・・・うーん,これは一度誰かの手によってレストアされているんじゃないのかなあ。

 分解痕があり,シャッターもレンズも綺麗であったことから,素人さんによるメンテが行われたのではないかと思います。モルトの交換も行われているということでしょう。しかし軍艦部や底板を外したわけではないようで,この部分の内側に使われているモルトはボロボロのままでした。

 加えて電池バネのビスは頭がなめていました。接触不良を直そうとして,ビスを締めたかゆるめたかした際に,潰してしまったのでしょう。

 よく見ると,張り皮も大変綺麗です。40年も経過すれば薄汚れてしまうものですが,この綺麗さは張り替えがなされているのでしょう。

 全体にとても大切に維持されていた印象で,この様子だと前のオーナーは動作しなくなった時にきっと悔しかったのではないでしょうか。

 最後の最後に,各部のスミ入れです。白と赤と黒とオレンジの4色でスミ入れを行っていきます。どういうわけだかエナメルシンナーのボトルが行方不明になってしまい,捜索作業に時間がかかってしまったことは内緒ですが,ともあれ作業完了。白い文字が鮮やかだと,本当に全体の印象が変わってきます。

 試写はこれからですが,機構的に問題はなさそうですし,電気的にも確実な動作はしています。調整がずれていることは心配で,せめて無限遠くらいは確認しておこうかと思ったのですが,シャッターを開放に出来ないカメラですから面倒なのでパス。フォーカスも目測で行う程度のものですし,絞りの値もコロコロ変わるので被写界深度も不定というカメラですから,あまりこだわっても仕方がありません。

 実は今週末,所用で実家に戻ることになっています。今回は滞在期間も短いしカメラは持参しないつもりでいたのですが,このペンEEDのテストを行うのに絶好の機会です。24枚撮りのセンチュリアスーパーを詰め込んで,試し撮りをしてきたいと思います。

 今回も,また他の人の好意を受けてしまいました。その時々でふと私のことを思い出して下さるから,声をかけてくれるのでしょう。なんとありがたいことでしょうか。

 私がこうしてペンを手に入れて喜んでいると,ちょうどオリンパスからペンを関したデジタルカメラが登場しました。E-P1がそれですが,なかなかかっちょいいですね。

 いわく,ペンのフィロソフィーを継承ですか・・・確かに個性的なメカニズムや大きさ,デザインなどはそうかも知れません。しかし大事なことを忘れていませんか,オリンパスさん。

 ペンは,6000円で売れるカメラを作れ,が設計者への指示でした。性能で妥協せず価格を下げるために斬新な機構を盛り込んだことが,ペンの一番大事なフィロソフィーじゃないでしょうか。

 レンズ込みで10万円を越える高級機がペンというのも,なんとなくしっくり来ません。確かにペンFは1963年当時25000円もした高級機でしたし,今回のE-P1はFをモチーフにしているのも分かります。かつてのペンの低価格とお気楽さは現在のコンパクトデジカメが担っているという点で,この作戦しかないことは理解できます。

 でも,これはすでにペンではなく,オリンパスがかつて出し損ねた,ContaxTやContaxG1,Nikon28Ti,GR1,TC-1やHEXARなどの高級コンパクトカメラのフィロソフィーなんじゃないですか。ペンならスニーカーであって欲しかったなあと,私は思います。

 ・・・でもかっちょいいなあ,欲しいなあ。


 さてさて,バケペンですが・・・

 これはもう圧倒されっぱなしで,手に取るとため息がでてそのまま箱に戻してしまいます。大きいですし,時期的にはAsahiPentaxESあたりと同じ時期ですので,修理や分解はそんなに難しいとは思っていませんが,20cmもあるような巨大ムカデに遭遇したような恐ろしささえ感じてしまうのです。

 レンズもありませんし,フィルムもありません。というか中判なんか使ったこともありません。当然自分では現像も出来ませんし,スキャンも出来ません。ないないづくしのなかで,バケペンの修理に取り組むには,もう少し準備が必要かなあと思っています。

F70DとES2のサービスマニュアル

 F70Dの裏蓋およびグリップのゴムの交換と,海外の業者にお願いしてあったPentax ES2のサービスマニュアルの両方が,昨日届きました。

 F70Dの方はニコンのサービスから戻ってきたもので,修理代金は代引きで支払います。部品代が1800円,工賃が2900円,送料が1000円で合計約6000円です。

 今なら2,3000円で買えるF70Dに6000円かける価値があるのか,という話もあるのですが,なにせこいつはまだ3万円以上した頃に購入したF70Dです。今売られているF70Dに比べると状態はずっとよいでしょう。

 裏蓋のべとつきは対策がされて起こりにくくなっているそうですし,グリップも新品に変わって見違えるようにきれいです。

 F70DはニコンのAF機の中ではなかなか個性的な1台です。静かで上品な動作音,直感的に理解しがたいユーザーインターフェース,案外持ちやすいデザイン,CR123Aが2本で動く軽い電源システム,滅多に外さない高精度な内蔵ストロボ,1/4000秒まで対応するそこそこのスペック,モーター内蔵AFレンズからAiニッコールまで幅広く対応する面倒見の良さ,すでに忘却の彼方にあるパノラマ撮影,日付の写し込みに標準で対応,と,とりあえずこれ一台で大方のことは片付いてしまうカメラです。

 発売時の価格が10万円を超えていたという,今のデジタル一眼の相場から考えてもなかなか高級な部類に入るF70Dは,良くできていて当然なのかも知れませんが,あのおかしなユーザーインターフェースのおかげで不当に低く扱われていることは間違いないと思います。

 といいつつ,私もF100を手に入れた以上はF70Dの出番はほとんどなくなると思いますが,静かなこととストロボ内蔵であることが重要な時には,出番があるかも知れません。

 次,ES2のサービスマニュアルです。

 ES2は先日修理が完了し,落ち着きを取り戻したのですが,ちゃんとしたサービスマニュアルを手に入れずに断片的な資料をつなぎ合わせて,これまでやってきました。

 かなりの情報が集まっているので実際の作業は困らないのですが,それでもきちんとしたものを持っていたかったので,円高を機会に注文することにしました。送料まで入れて日本円で3000円ほど。PayPalで支払います。支払いから約2週間で届きました。

 はるばるアメリカから,私あてに届く国際郵便・・・海外に注文したのですから当たり前の事ですが,それでもやっぱり郵便屋さんが私に「海外からの郵便です」と手渡してくれると,よくぞ無事に届いたものだと感激しますね。

 中を見てみたのですが,実はちょっと期待はずれでした。といいますか,期待しすぎだったのですが,すでに知っている情報がほとんどで,新たに知ったことは少なかったのです。

 とはいえ,その少ない新しい情報は,なるほどそうだったのか,と思うものでした。

 例えばタイミングスイッチ。私はこれを,電子シャッター時の高速側の調整に使ったのですが,サービスマニュアルによるとそういう調整には使わず,決まったクリアランスが出るように調整せよとあるだけです。

 実際,このマニュアルに従って作業をするのは,機材の関係もあり不可能なのですが,どういう理屈でこの手順なのか,ということを考えながら進めると,調整の意味も分かって,良い結果に繋がってくれるように思います。

 そしてもう1つ,海外からの買い物で,PalmのTungstenTXを個人輸入で注文しています。1月8日に注文し,実は昨日届いたらしいのですが,不在のため再配達を土曜日におねがいしています。

 ES2のサービスマニュアルとTungstenTXの2つは,もしかしたら荷物が届かないとかでもめるかも知れないなあ,と覚悟していたので,うまく届いてなによりでした。(TungstenTXはまだです・・・壊れていたりすると面倒ですね)


 円高に対する積極的な行動は,海外からものを買うことです。なかなか機会もなく,リスクも大きい海外通販ですが,頻繁に使うものではないにせよ,上手で楽しい買い物の1つの手段として,試して見るとよいのではないでしょうか。

F100雑感

 先日手に入れたF100,いい感じです。手に馴染む感覚がよいのと,シャッター音が気に入ってきました。フィルムカメラはフィルムを入れた時と入れていない時で,シャッターの音が結構変わるものですね。

 以前手に入れてあったSUNPAKの5000AFというストロボが,F100だとTTL調光が可能になるのを思い出し試して見たのですが,これもなかなか良い感じです。大容量ストロボはゆとりがあっていいなあと思いました。

 結局,私はF100にDK-17MとDK-19を組み合わせて使っています。DK-17Mは1.2倍のマグニファイアアイピースで,ファインダーの視野を拡大するものものです。元々APS-Cサイズのデジタル一眼用に作られたもので,私はすでにD2Hで愛用しています。

 ファインダーが見やすくなることに加え,接眼レンズが後ろに飛び出て来るため,カメラの背面に頬や鼻が適度に当たり,ホールドが楽になります。

 F100は銀塩のカメラですから本来DK-17Mを使う必要はないのですが,実はこのF100,ファインダー倍率が0.71倍とやや小さめなのです。これを1.2倍に拡大すれば約0.85倍と,一昔前の一眼レフか最高級プロ用に肩を並べるようになります。

 残念なのはかなり画像が歪むことでしょうか。F100のファインダーはDK-17Mを使わなくても肉眼で分かるくらいに糸巻き状の歪曲収差が出るのですが,DK-17Mを使うとさらにひどくなります。ちょっと気持ちが悪いのですが,見やすさと引き替えです。

 DK-17MにはDK-19という接眼目当てを付けています。D2Hでもこの組み合わせで使っていますが,F100の場合見事に裏蓋が開かなくなってしまいます。ニコンとしてもF100でDK-17MやDK-19を推奨しないのは,そうい事情があってのことでしょう。

 ですので,面倒ですがいちいちDK-17Mを外して裏蓋の開け閉めをやっています。

 銀塩のAFニコンはF70Dしかなく,レンズのラインナップも非常に貧弱な状態ですから,もしD2H用のDXニッコールが実力で使えるとかなり面白いことになりそうです。特に18-200mmは超音波モータと手ぶれ補正がありますので,試して見る価値ありと判断しました。

 結果は,かなりけられます。広角側は絶望で,ファインダーで見ても丸い穴からのぞき込んでいるような感じになります。望遠になるに従ってケラレの程度は少なくなり,テレ端ではファインダーではケラレはほとんどをわかりません。

 ファインダー視野率96%のF100に期待して現像したのですが,やっぱだめですね。四隅がかなり暗くなっています。

ファイル 264-1.jpg

 転んだ色を補正してリサイズをしてあります。トリミングはしてありません。

 Photoshopで周辺光量の補正を行ったのが次です。

ファイル 264-2.jpg

 8bitでスキャンしてjpegで保存したものを補正したのですが,少なくともこの画像では補正を強めにすると色が飛んでしまうのでこのくらいが限界です。

 背景によってはこのくらいの補正でも気にならない場合もあるでしょうし,トリミングを前提にすれば,さすがイメージサークルの小さいデジタル一眼用だけに解像度は素晴らしいものがあるので,あまり窮屈に考えず,上手に使ってみればいいかと思っています。

 そうなると,ちょうど手薄になっている85mmを真剣に考えるようになりました。中望遠はタムロンの90mmマクロとAi105mmF2.5があるのでいらないと思っていましたが,いずれもマニュアルフォーカスのレンズですし,F100にはちょっと力不足な感じもあります。ポートレートを撮るわけではないのでF1.4である必要は全然なく,「観察眼」を駆使するときの私の視野が80mm前後だから欲しいという理由ですから,F1.8で十分です。

 フィルムが安価で,かつ自家現像が出来るというのも,そんなに長くは続かない環境でしょう。今のうちに楽しんでおこうと思いますが,クラシックカメラで遊ぶだけではなく,完成度の高い現代のカメラと対話することも,やってみると楽しいことです。

ES2はようやく修理完了宣言

 1月末にSMC Takumar28mm/F3.5を手に入れて速攻で壊し修理を行った話を書きましたが,この時久々にES2を引っ張り出してテスト撮影をしました。この時,再調整が面倒で露出計が1.5段くらいずれているまま放置してあったことを思い出しました。

 ネガで撮影すればこのくらいのズレはカバーできますし,そもそも平均測光ですからあまり精度を上げても意味がありません。それに,どうしても気になるというのであれば,感度を1.5段ほどずらしてやればよいだけの話なので,せっかく開放測光と絞り込み測光とメーター指示の3つが一致し,しかもリニアリティもほぼ補正できている現状を壊してしまうリスクを考えて,下手に手を出さないことにしたのでした。

 しかし,28mmのテスト撮影を行っていると,やっぱり気持ちが悪いです。手ぶれの目安でシャッター速度はいつも確認をしていますが,例えば50mmレンズで1/30秒と1/15秒では大違いです。

 感度を調整すると,露出補正で補正できない場合が出てくることも(実用上はそんなことは滅多に起きないが)やはり気になります。

 よって,ここで一発,なんとか追い込んでみようと考えたのが1月22日でした。

 いつも書くことですが,ES2で測光関係の調整を行う場合,複数の半固定抵抗をあわせる必要があります。開放測光のシャッター速度,絞り込み測光のシャッター速度,そしてメーター指示の3つが別々になっています。その上CdSのリニアリティ補正のために,高輝度と低輝度の2箇所で調整が必要です。(絞り込み測光は1箇所だけです。ついでに言うと基板のバージョンによって違うようです。)

 サービスマニュアルにある調整手順に従って半固定抵抗を回していくのですが,やはり微妙にバランスが狂ってくるのがわかります。そこで,AutoSpeedLargelyというラフに調整する抵抗を試しに回してみると,3つの状態が一度に変わってくれます。

 グレイカードを使ってずれている1.5段を修正すると,シャッター速度もメーター指示も大体0.5段以内に収まってくれています。

 ただ,折れ線で近似したリニアリティ補正もそのままシフトされてしまうので,高輝度側か低輝度側で大きなズレを生む可能性が高いと思います。

 案外さくっと終わってしまった調整に拍子抜けしながら,その週末にテスト撮影し,先日現像が終わりました。

 結果は上々でした。

 グレイカードを使ってメーター指示が適性になることは確認済みで,またこのメーター指示の通りのシャッター速度が出ていることも確認済みです。

 オートとメカシャッターのマニュアルを交互に撮影,続けて絞り込み測光で撮影を行ってコマ間の露出のバラツキを確認してみましたが,ほぼ揃っています。絞り込み測光で0.5段ほどオーバーになる傾向がありますが,これはやむなしですね。

 スローシャッターは被写体を変えないとダメだったのですが,こちらも露出のバラツキはありません。ざっと36コマ眺めてみると,あまりの揃いっぷりにES2での撮影かどうかを疑いたくなるほどです。

 平均測光ですから,適性露出になっているかどうかはあやしいもので,スキャンすると色が転んだりしていますが,それでも飛んだりつぶれたりするほどの失敗もなく,十分使えるレベルでしょう。

 心配していたリニアリティですが,高輝度側で0.5段ほどアンダーになる傾向が開放と絞り込み両方に見られました。しかし,それも大した問題ではないと思っています。

 ということで,一応ES2は調整も収束し,実用レベルになりました。コマ間隔のバラツキもほとんどなく,とても綺麗にコマが並んでいます。シャッター幕の狂いによる露出ムラもなさそうです。メカシャッターと電子シャッターの差も小さく,また電子シャッターは同じ被写体をどんな絞りでも同じ明るさで露光してくれます。

 随分長い時間かかりましたが,ようやく,ES2は修理完了を宣言できそうです。

 これを記念し,アメリカのサービスマニュアル販売業者から,ES2のサービスマニュアルのリプリントを買うことにしました。円高でもあることですし,きちんとしたものを1冊持っておくことは,このES2を末永く使うために必要なものでしょう。

 先日後玉を交換する羽目になってしまったSMC Takumar28mm/F3.5もなかなかいい写りをしています。一方でSMC Takumar50mm/F1.4は組み立てに失敗しているのか,ボケがグルグルと回っていて,とても猥雑な印象です。F5.6くらいまで絞るとシャキッといい感じになるのですが,開放だとちょっとしんどいなあという印象です。他の方の作例を見る限りこんなボケにはなっていないので,やっぱり私の個体の問題でしょう。

さようならセンチュリア

 激安カラーフィルムとして私のようなカメラ修理趣味人を支えた「センチュリア」シリーズが,とうとう生産終了になったようです。

 元々コニカのフィルムだったわけですが,どういうわけだかコニカのフィルムには1本100円台で売られる激安フィルムがありました。使い捨てカメラ(という表現は適切ではないのですが)に使われるフィルムだったこともあるでしょうし,もしかするとフィルムそのものではなく,現像と引き延ばしで儲けるシステムが出来上がっていたのが理由だったのかもしれないのですが,36枚撮りのフィルムを1本現像に出すと,軽く1000円を超えた過去を思い出すと,写真というのは金のかかる趣味だったんだなあとつくづく思います。

 思う存分シャッターを切りたい私は当然モノクロフィルムを自家現像していたわけですが,実は自家現像でカラーフィルムを処理することが全く難しいものではなく,またコストもかからないものであると知り,今は完全にカラーに切り替えてしまいました。

 そうしたトータルコストの引き下げに大きく貢献したのが,コニカのセンチュリアでしたが,特にセンチュリアスーパーのISO200の発色は「これが激安でいいのかよ」と思うほど豊かで優しく,シャッター速度やレンズの確認のためのテスト撮影に使うのが惜しいくらいでした。また,ISO200という適当な感度が大変便利で,D2Hの標準感度がISO200だったりするので,私はすっかりISO200で光を読む人になっています。

 小西六からコニカに代わり,ミノルタと合併した名門はコニカミノルタとなりました。共に日本の写真文化を支えた会社が選んだ道は写真関連事業からの撤退でした。フィルムは言うまでもなくカメラからも撤退し,コニカミノルタはすでに私の中では「倒産」した会社と同じ扱いです。

 しかし,もっとも厳しく,今後も険しいはずのフィルム事業を手に入れた会社が大日本印刷で,果たしてセンチュリアという名前は残り,そして激安販売の対象という役回りさえ引き継がれてきました。

 あれから4年,実はコダックのOEMで発色も粒状性も全然違うフィルムになってしまったセンチュリアですが,私はいつでも欲しいときに手に入る安いフィルムに安堵していました。しかし,それももう終わりです。

 F100を手に入れた矢先の話でとても残念で仕方がないのですが,買い支えるという行為に及ばなかった私にもそれなりの原因はあるかも知れません。

 センチュリアスーパーのISO200については30本ほど冷凍してありますし,かつてダイソーで売られていた100円のコダックのフィルムも備蓄があるので,今すぐピンチになるわけではありませんが,フィルムは生もの,やっぱり欲しいときに買えないことは,辛いところです。

 私の写真史にとって,この日は大きな転換点になると思います。フィルムがなくなったわけではありませんが,貴重品になったことは,もはやフィルムが特別な存在となり,使うことは贅沢な行為に変わります。

 私はフィルム至上主義の人ではないので,感情的な寂しさはありません。高価なフィルムには高価なりの性能の良さがあります。安いフィルムはディジタルで取って代わられるのが宿命でしょう。ディジタルでは代替不可能な領域でのみフィルムが生き残るという簡単な予測は,時間軸はともかくとして現実になろうとしています。

ないものは自分で作れ

 さて,先日F100に関する改造を考えていたと書いたのですが,先に書いておきますと本体そのものには手を出しません。ご安心下さい。

 改造は,電池ケースです。

 ピンと来た人も多いと思います。F100は基本は単三電池4本ですが,低温環境の性能維持と軽量化のために,CR123Aを2本使う電池ケースが別売りで用意されていました。MS-13という形式のもので,F100ユーザーには必須のオプションと言われていたにもかかわらず,数年前に生産中止,今はほとんど手に入らなくなっています。

 F6ではCR123Aは標準になっていますし,F70Dもそうです。F100でなぜ単三電池になったのか,わざわざオプションでCR123Aに対応した理由は知りませんが,どっちにしても私は単三電池のずっしりとした重さが嫌いです。液漏れはするし当たり外れはあるし自己放電も大きいし,搭載機器が重くなるのは仕方がないとして,電池を買うときも重い想いをするのはバカらしい,とわがまま言い放題なのですが,こればかりは好みの問題ですのでやむを得ません。もし,従来の2/3程の重さの乾電池が売り出されたら,私はそれを選んで買うでしょうね。

 てことで,MS-13をちょっと探してみたところ,もはや入手は絶望的。オークションでもあまり出品されなくなっているようで,競争率も高そうです。それでF100にはエネループを使おうかと思っていた私ですが,いやまてよ,電池ケースを改造してリチウム電池に対応させればいいんじゃないか,と思いついてしまったから大変です。

 早速調べて見ると単三電池用の電池ケースは今でも普通に売られていることを知りました。

 新宿のヨドバシでMS-12と呼ばれるその電池ケースを1500円という安価な価格で手に入れると,こちらを保存用に確保し,これまで付いていた方をリチウム電池に対応させるべく,改造に入ります。

 単三電池の直径は案外小さく,最大14.5mmです。CR123Aは17.0mmもあるので,これを押し込もうとするとかなり大がかりな改造が必要になりそうです。さらに幸か不幸か私の手元には,いつもCR123Aと間違えてついつい買ってきてしまうCR2がゴロゴロしていますので,これを使ってみることにします。

 CR2の直径は15.6mm。それでも単三電池より1mmも大きいので,無改造では入りそうにありません。気になったのはCR123AとCR2の特性の違いですが,どちらも最大負荷が200mA程度で一応使えそうです。その代わり容量がCR2が随分小さく,CR123Aが1400mAhあるのに対しCR2はわずか850mAhしかありません。これは単純に2/3以下の電池寿命しかないということを示しています。

 重量はCR123Aが2本で34gなのに対しCR2は2本で22gしかありませんのでさらに12gも軽量化されますが,改造用の部品が数グラム上乗せになるので,純正電池ケースとCR123Aの組み合わせとトントンでしょう。

 つまるところ,手に入らないものと比べても仕方がないので,さっさと作業に入ります。

 まず,4つある電池室のうちどれを使うかを見極めます。電極の構造などからこれだ,という場所を選んだつもりで作業を進めていましたが,そもそもF100側に電池が入ってくれません。電池ケースをどれだけ削っても本体に裸で電池が入らない部屋は,どう考えても選択ミスですね。

 気を取り直してもう一度検討します。ここだという場所を選び,大胆にデザインナイフで削っていきます。肉厚が薄くなり確実に耐久性が落ちていくので,これは本気の撮影では使えないなあと感じた次第です。

 大いに削って電池をおさめ,F100本体に差し込んでみると,やっぱりまだどこかに触っている感じがします。さらにさらに削って,ようやくスムーズに電池が入るようになりました。

 次はCR2の長さを延長して単三電池と同じ長さにするスペーサです。ここには,加工しやすく絶縁性も高い材料として,ホットボンドのスティックを使う事にしました。

 F100と接触するマイナスの端子は0.5mm厚のリン青銅板をあてがいます。現物にあわせて長さを調整したスティックの端っこに,銅箔テープを貼り付けたりして電気的な接続を確保します。

 そして最後に,元々の電池ケースの配線を利用しながら,電気的に接続して完成です。ちゃんと6Vが出ていることを確認したら,F100に装填します。

ファイル 260-1.jpg

 お,液晶に表示が出て,スイッチを入れると電池の残量表示も満タンです。AFもこぎ見よく動きますし,連写も出来ます。一応完成ですね。

 確実に軽くなっているのですが,F100に組み込んでみると案外軽くは感じません。単三電池の時にも重いなあという印象が希薄でしたし,この点は少々期待はずれです。でも持った感じの重量バランスが変わって,重心の位置も変化したことは明らかに分かります,

 なにせ電池寿命が4割も減りますから,注意をしないといけませんし,最終的なコストパフォーマンスは悪いと思います。ちなみにCR123Aを2本使った場合の電池寿命は,ニコンによると常温で約20本。これの0.6倍ですので12本ですか・・・

 単三電池4本だと40本ということですが,今のアルカリ電池というのは2800mAhくらいはあるでしょう。計算通りですかね。ということは,もしエネループだったら30本くらいでしょうか。

 実売価格でCR123AとCR2は同じです。同じなのに4割も早く減るわけですから,非常に損です。これは他の人にお勧めできるような改造ではないということがはっきりしてしまいました。MS-13を手に入れらなかった難民を救済できるかと思ったのですが残念。

 とりあえず,私は手持ちのCR2を消費するためにこれで使い続けます。右側のグリップが軽くなったことは,やや違和感がありますが,それは純正のMS-13でも同じ事でしょう。空のMS-12は軽いのでこれとあわせて持っていき,CR2が切れてしまったら現地で単三電池を調達するという方法でも問題なさそうです。

 ん?

 そもそも36枚撮りフィルムを12本も使うことって,そんなにあるのか???

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