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22世紀にも持続可能な世界

 先日読んだ,ある技術雑誌に面白いコラムがありましたので,紹介します。

 雑誌は「電源回路設計2009」で,P.77からの「太陽光発電を活かして22世紀を迎えるために」という記事です。著者の松本吉彦さんはずっと昔からトランジスタ技術誌などを舞台に高い専門性と的確な内容で活躍された大ベテランで,私も学生の頃から,この方の記事にお世話になった記憶があります。


 要点をかいつまんでいくと,

・数億年かけてストックされた化石燃料を燃やして成り立つ生活は,使い始めて200年,大量に使い始めて50年という短さの,異常行動である。

・化石燃料は増えない。従って省エネで10%使用量を減らしても,30年の寿命が33年になるだけである。省エネへの努力は間違いではないのか。

・そんなことより,無限のエネルギーである太陽光を利用するべきだ。

・太陽電池は,それを作るのに必要だったエネルギーが,それが寿命を迎えるまでに生み出すエネルギーを上回っていたが,現在,生み出すエネルギーが必要なエネルギーの10倍にまでなっている。

・コストも下がっていて,油田を掘り,原油をくみ上げ精製するコストを下回る可能性が遠からずある。

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 さて,この段階で非常に大事なことがわかります。1つは太陽電池は,すでに投じたエネルギーよりも大きなエネルギーを得られる「打ち出の小槌」になっているということです。これは人類史上初めてのことです。

 もう1つ,それが技術的にも経済的にも現実的であるということです。打ち出の小槌には高速増殖炉も期待されていましたが,太陽電池の根本的な違いは,まさにこの点にあるわけです。

 この数字は私は未検証です。正しいと仮定すると知らぬ間にえらいことが起こっていたのだと驚きます。


 著者は続けます。

・火力発電所など,機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する装置を含むシステムは,大きいほど効率がよい。従ってエネルギーの発生箇所には局所性がある。

・局所性のあるエネルギーを消費地に回すには,電力の場合送電が必要で,「グリッド」と呼ばれるこの技術によって,現在のエネルギー供給は成り立っている。

・しかし太陽電池による発電は,規模と効率は無関係であり,太陽の光さえあればどこでも同じように発電が可能。よってエネルギーの局所性はない。

・もし現在の送電システムに,局所性のない太陽電池による発電を組み込もうとすると,非効率的,高コストで,合理的ではない。

・そこで,これに変わる新システムを構築する必要がある。その柱は太陽電池,電力貯蔵,そして電力制御を行うパワーエレクトロニクスである。

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 なるほどなるほど,なぜ発電所はあんなに大きいのか,なぜわざわざ遠方から高圧で送電しなくてはならないのか,太陽電池となにが根本的に違うのか,が明らかにされました。


 そして,

・技術の革新は,その時々の当事者以外から行われることが多い。トランジスタの発明は真空管屋ではなく,コンピュータは電子屋ではなく,マイクロプロセッサはコンピュータ屋ではなく,インターネットは通信屋ではなかった。

・電力についても,電力屋以外から革新される時代が来た。電子屋,IT屋は,電力分野に進出してでっかい仕事をぜひやろう!

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 と結びます。


 電子工学や情報工学のエンジニアに,電力やエネルギーの仕事をやろうと呼びかけていますが,もう1つ裏側に主張があるように思います。

 それは,エネルギーとか電力とか,そういうインフラを抱き込む巨大な産業には,どうしても既得権があって,自らが今やっているビジネスを根底から変えるような変革を,最終的にするはずがないということでしょう。

 昨日だったか,太陽光発電の割合を国の目標レベルに引き上げると,天候によって総発電量が大きく変動して停電するんじゃないか,という意見に対し,国が実証実験を行うことにしたというニュースが出ていました。

 こういう懸念はもっともでしょうが,先のコラムを読んだ我々は,すでにこの懸念の根源が,エネルギーの局所性と19世紀の偉大な発明「グリッド」を引きずった故に出てきたものであることに気が付きます。

 そこで,これら前提の否定から入ろう,それには彼らのようなしがらみのない,電子分野,情報分野のエンジニアが挑戦しないといけない,と鼓舞しているわけです。

 こういう,指数関数的に拡大する理論というのは,胸のすくよな爽快感がありますね。先日もシェルが「これはペイ出来ない」と風力発電への投資を中止しましたが,これなどもやはり既得権を持つ者の性でしょう。

 しかして,電子屋,IT屋がこれらに進出するのは時間の問題だと思われます。すでにこれらの技術者は,電気自動車の分野に進出し,パワーエレクトロニクスを自分の庭として認識し,その世界観を共有しつつあります。

 技術に永遠はなく,常にスクラップ&ビルドです。19世紀の送電システムは偉大な発明でしたが,これとて同じです。永遠はありません。

 ただし,このコラムには1つ視点が欠けています。太陽光発電は,太陽電池以外の方法や太陽電池の黎明期にかかった膨大なコストによって現在があります。

 化石エネルギーは,初期の開発投資がそれほど大きくなかったと想像できるわけですから,そもそもそこが前提として違います。太陽光発電が地球と人類の負担にならないといえるのは,それら初期のコストをきちんと精算してからになるでしょう。しかし,私はその精算は,どんなに頑張っても当分終わりそうにないと思います。

 つまり,人類は,やはり「打ち出の小槌」を手に出来なかった,ということです。

 もっとも,このまま化石燃料に頼ることは不可能です。生き残るために現時点の収支を見て,何に投資するのが得策かを考えねばなりません。

 化石燃料は,燃やしてエネルギーにする以外に,プラスチックや化学薬品の原料にもなります。こうした「化石燃料でしかできないこと」のために大事に使うのが本来の姿であり,考えて見るとこれをただ単に燃やして使うなどと言うのは,100年後200年後の子孫たちにとって,卒倒するようなことではないでしょうか。

販売店の責任とは

 さて,先日VintageComputerさんから購入した「VCオリジナル 2ポート eSATA ExpressCard」の件ですが,先日送り返しました。SmallPacketによる航空便で送り返しましたが,わずか150円。軽い梱包を心がけた結果です。

 まだ不良だったのかどうかはわかりませんが,いずれにせよ手元に使えないもの(そればかりかカーネルパニックを引き起こす危険なもの)があっても仕方がありませんので,送り返す以外の選択肢はありません。

 VintageComputerさんのレスポンスは速く,私からのメールに翌日返事が届きました。不良の可能性が高いので送り返せ,とのことで,その際の注意は「保証規定」を読むように,とありました。

 その保証規定によると,初期不良は返送料を一時立て替えてくれ,後で「ポイント」で返すから,とあります。

 ポイント?

 まず最初に,なぜ初期不良の返送料が販売店持ちなのかですが,これは購入者に落ち度がないから,です。もちろん販売店としても,メーカーの落ち度で発生した初期不良の責任を取るのはおかしいかも知れませんが,販売店はメーカーや卸業者の,購入者に対する一次窓口の機能も担っています。

 実際,多くの日本のお店は購入者に対し着払いで返送するよう指示を出すわけですが,この時の返送料はお店が負担することもあるし,メーカーに請求する場合もあるので,なんとも言えません。

 この段階で,販売店であるVingtageComputerさんが返送料を負担する必要性が明らかになったところで,それがなぜポイントなんだという疑問です。

 ポイントは,その店でしか使えないものですし,期限があるのが普通ですから,どんなものも買えて,しかも期限がない現金とは全く違うものという考え方が普通です。会計上の判断としても,購入者からの借入金という理屈と,あくまで販促費という理屈で意見が分かれています。

 立て替えたものが返送に必要となった現金であったわけですから,その立て替えたものを返してもらう際には,同じ現金で返してもらうべきでしょう。つまり私は,ポイントを購入したわけではありません。

 また,誤配の場合は振り込みやクレジットカードで返金するとありますから,返金することそものが制度上不可能ということではなさそうです。

 ということで,こちらの落ち度がない初期不良でポイントでの返却はおかしい,立て替えた現金で返してくれ,とお願いし,同時にポイントで返す理由の説明を求めました。

 数時間して返事が来たのですが,全文の掲載は許可を取っていないので抜粋すると,

・今回に限ってクレジットカードで返却する。
・初期不良は最終的にはメーカーの責任で,販売店に直接の落ち度はない。
・米国では初期不良品の返送料も購入者負担が普通。
・しかし日本では馴染みがないので,ポイントで返すことにしている。
・保証規定に明文化しており,納得した上で購入してもらっている。

 とぃうことでした。

 どう思われますか?

 一応クレジットカードで返金されるということですので,おかしな議論をふっかけるのは得策ではありませんが,初期不良については自分達は悪くない,というスタンスを崩していません。実際,謝罪の言葉は全くありませんでしたし。

 私も一時期販売店にいましたので,販売店の理屈も,メーカーの理屈も少しは分かっているつもりですが,単純な商習慣の違いを超えた疑問が消えません。

 まず,初期不良の責任は,彼らの主張通りメーカーに全責任があります。販売店もそのメーカーを信用して仕入れているわけで,それが不良品だったという,品質と信用の問題を出したのですから,メーカーが全面的に悪いことに疑いはありません。最終的に全責任を持つのは,VintageComputerさんの言うとおり,メーカーです。(しかし,それを客に言えば客が納得するという発想が,ちょっと思慮が足りないなあと思いますが)

 ただ,販売店の大切な機能には,購入者の窓口というのがあり,いざというときメーカーの代行を行う事もあります。これは,商習慣として慣例化しているケースもあるでしょうし,契約などで明文化されているケースもあると思います。

 いずれにせよ,メーカーのサポートに電話して「販売店にご相談下さい」と案内されるのは,こういう理由があるからです。

 とはいえ,販売店にもいろいろな業態があり,こうした販売以外の業務を一切行わないお店もあります。あえて行わずコストを削減し安売りの減資とするお店もあるし,正規品を扱っていないのでメーカーと話が出来ないと言うお店もあります。要するにお店の機能はお店自身が定義して運営していくものだ,ということです。

 その点で,VintageComputerさんが「自分達に落ち度はない」というのは,気分的にいささか抵抗がありますが,それでも納得出来ない話ではありません。ゆえに販売店にも購入者に落ち度がないから,双方痛み分けで返送料はポイントで返す,という理屈は一応筋が通っているように見えます。

 さて,今回の商品は「VCオリジナル」と銘打っています。ノーブランドではなく,またApple製でもsonnet製でもありません。VintageComputerさんのオリジナルの商品ですから,いわばプライベートブランドのマヨネーズなんかと同じで,VintageComputerさんは販売店としての責任は百歩譲ってゼロだとしても,製品そのものに対する責任は回避できないのではないかと,思うのです。

 もし,VintageCompterさんがそれでも責任はない,といいだしたら,この商品はもはやノーブランド,もしくはジャンク品でノーサポートの商品になります。そういう前提ならやむを得ませんが,この商品は違います。

 OEMを受ける側は,商品を他の会社に作ってもらっていますが,製品の品質に対しては一定の責任を持っています。実際に作っているOEM元の会社に一番責任があるのは事実ですが,それはあくまでOEMを受ける側に対しての責任です。

 今回の商品が本当に不良だったとして,その責任は製造メーカーにあるのは確かですが,それはVintageComputerさんとの話し合いの中だけの話で,購入者に見えないところにあるから,「VCオリジナル」なわけです。

 この段階で,私の主張は,少なくとも商品に対する責任をVintageComputerさんが持っているという結論に達します。よって双方痛み分け,という理屈は成り立ちません。


 次に,米国で返品にかかる費用の負担が購入者にあるかどうかですが,これは事実のようです。その代わり米国はもっと広範囲の消費者保護の制度が整っています。私は米国の消費者行政の専門家ではありませんからこれ以上の言及はしませんが,VintageCompuerさんの主張に,自分達に都合のいい所だけ「米国流」を適用しているのではないか,と思う人もいるかも知れません。


 最後に,どちらも悪くないからポイントで返す,と言う理屈ですが,先程から述べているように,この商品に限って言えば,販売の責任をゼロとしても,製品に対する責任は回避できません。よって双方痛み分けにはなりません。

 さらに,双方痛み分けがどうして「ポイント」なのか,だれがポイントをもらって痛み分けと納得したのか,が冷静に考えると不明です。良く買い物をする人は結構でしょうが,滅多に使わない人にとっては価値が薄く,期限が切れてしまって失効してしまえば,全く価値はゼロです。お店にとって,ポイントは借金ではなく販促費用として会計上扱われているケースが大半であることが,ポイントという「独自貨幣」の性質を如実に語っています。


 保証規定に納得してもらった上で,という話については,残念ながら最近はあまり効力を持ちません。基本的に双方の話し合いで決着した内容が優先されるのは今も昔も変わりませんし,司法上の判断でその保証規定に問題があれば,保証規定への応諾が無効になるケースは珍しくありません。ここらへんを杓子定規に考えるのは中学生までだと個人的には考えています。水掛け論をするのは不毛です。


 ということで,いろいろ迷ったあげくに,こんな感じで返事をしました。

>  私もかつてはMacや中古パソコンの販売店におりましたし,
> 今はメーカー勤めをしておりますので,頂いたご説明は確かに
> 販売店の本音として理解できます。
>
>  しかし,やはり販売店には何かあったときのメーカーの
> 代役として購入者の窓口を担うことも期待されていますし
> (そして実際に御社はきちんとその機能を果たされています),
> おっしゃるとおり最終的な責任はメーカーにあり,いわば販売店も
> 被害者であることは間違いなくとも,それはやはり販売店とメー
> カーとの間で決着すべきお話で,優先されるべきは購入者に全く
> 責任がないという事実であると思います。
>
>  加えて,こと今回の件については,商品が「VCオリジナル」と
> 銘打ってあることから,御社は単純な販売店としての責任に加え,
> 製品そのものについても責任があるというのが私の考えです。
>
>  御社のように,厳密にメーカー,販売店,購入者それぞれの
> 責任と負担をはっきりさせて対応を区別してらっしゃるなら,
> 今回の商品についても同様にそれぞれの責任の所在と負担費用を,
> 他のAppleやSonnetの製品とは区別しておくべきではな
> いでしょうか。


 これを「意見として」と前置きして返事としました。
 
 このメールに対して,返金についての簡単な案内と,意見として参考にする,という簡単な返事が届きました。

 わずか150円ですが金額の問題ではなく,私は彼らの販売店としての責任,あるいは今回の商品そのものに対する責任についてどう考えているのかをただしたかったのです。

 残念ながら,販売店には最終責任はない,という考えを結局最後まで曲げることはされませんでしたし,ここ数回のやりとりでただの一度も謝罪や感謝といった意味の言葉が使われることはなかったところに,自分達は悪くないという考えが徹底していることを強く感じました。顧客からの意見に対する感謝がないところにも,そもそも意見など求めてなどいないという気持ちがあるのでしょう。
 
 10年もややこしい商品の販売で生き残ってきたお店ですから,このくらいのことでいちいち頭を下げていたり,感謝をしたりしていたらやっていけないのでしょうね。面白い商品を扱っているお店ですから残念ですが,私の印象としてはそれを武器に結構彼らが有利になるような形で商売が出来ているケースだと思います。お客から見ると,ハイリスク・ハイリターンということになるでしょうか。

 今回の返送料は,小さなものだったから150円で済みましたが,これが大きいものだと何千円にもなるケースもあります。VintageComputerさんの売価が国内の店より2000円安いと言う理由で購入を決めても,その商品がたまたま運悪く初期不良だったりしたら,他の店で買った方が安かったと言う可能性が十分にあるということです。

 金銭面もそうですし,こういうやりとり一つとっても,不良品が出たら,なかなか気持ちよく終わらせてくれるお店ではないので,そのあたりも加味して,本当に特かどうかをよく考えてから,利用されることをおすすめしておきます。

G-SHOESのさっと一品(魚料理)

 お気に入りの圧力鍋が新しいうちは,ちょっと抵抗があって出来なかった料理が「サバの味噌煮」です。

 しかし,購入から4ヶ月近くになり,鍋も傷がいっぱい付きましたし,恐ろしいことに取っ手の部分を落下させて壊してしまい,それをばらして組み立てて修理して使うようになって,そろそろやってみるか,と思い立ちました。


・サバの味噌煮(二人分)

[用意するもの]
 サバ・・・小4切
 味噌・・・大さじ2
 ショウガ・・・1かけ
 酒・・・大さじ4
 みりん・・・大さじ3
 砂糖・・・大さじ4
 水・・・180cc
 仕上げに味噌大さじ1,醤油小さじ1

[作り方]
 1.サバの皮の上から熱湯をさっとかけて臭みを取る
 2.サバの表面に十字の切れ目を入れておく。
 3.ショウガはをスライスする。
 4.圧力鍋に材料を全部投入。フタをして強火で圧が上がるまで待つ。
 5.圧力が「強」になったら弱火にして圧力を維持,35分煮込む。
 6.35分経ったら火を止めて自然冷却。
 7.圧が下がったらフタを開け,仕上げの味噌と醤油を投入。
 8.弱火で煮詰める。

[注意]
 味噌の種類によっては塩分が強かったり弱かったりするので味噌の量には注意。

とても厳しかったExpressCardとeSATAデビュー

 2年ほど使っている320GByteの外付けHDDの残りが1割程度になり,少々手狭になったことから,値頃感が高まっている夢の1TByteのHDDに買い換えることにしました。

 こういうのはアキバに出向いてケースも含めて品定めをするのが慣例ではありますが,なんか最近アキバに行くのが嫌で,つい通販に頼ってしまいます。(それでもアキバに店舗のあるお店をまずあたるのですが)

 なにせ1TBです。中に詰め込まれるデータは膨大ですから,転送速度に配慮しないといけません。USB2.0も十分高速ではありますが,実力が30MByte/secといわれていますし,最近の1プラッタあたり300MByteを越えるような高速なHDDでは,少々役不足になりつつあります。

 かといってFireFire800なんかだと,これが使えるケースを探すのが一苦労です。HDD本体が変えてしまうほど高価なものもざらです。これはやはり非現実。そうなるとeSATAになるのですが,Macでこれを使う方法は・・・

 MacBookProにはあるんです。

 MacBookProには,ExpressCard/34スロットが1つ付いています。こんなもん何の役に立つんかな,と思っていたのですが,ここにeSATAのインターフェースカードを差し込んでいる方が,割に古くからいらっしゃるようです。

 こういう話をきくとウズウズする性分の私は,早速検討に入りました。必要なものは,eSATAに対応したHDDケース,もちろんSATAのHDD,そしてMacBookProでも動作するExpressCard/34のeSATAカードです。

 まず最初にカードを探します。ラトックのMac対応を謳ったカードは間違いないでしょうが,これは1万円もする高価な品物です。そこで登場するのが玄人志向ブランドです。

 Sil3132を使ったカードの存在が知られており,またこのチップのMacOSX用のドライバがチップメーカーのサイトに上がっています。これでeSATA環境を堪能している方の報告はよく目にします。

 一方,コネクタ部がはみ出さないカードを作っているメーカーもあり,こちらも良く話題に上がっているようです。チップはJMB36xというものですが,AHCIに対応しているので,Leopardならドライバ不要,しかもブートが可能という優れものです。

 ただし,どうも動作に確実性がないようで,動かない,不安定という報告もそれなりにあるようです。不思議です。

 そんななか,アメリカにあるVintageComputerというお店のオリジナル商品に,JMB36xを使った2ポートのカードがあるというので,探してみました。価格も4000円前半と安く,安定動作の報告も多いようです。逆に悪い話は全然上がってきませんので,注文してみました。

 ここはかつてPowerMacintosh7600を使っていた頃にも何度かお世話になりましたし,iBookG4も,今のMacBookProも英語キーボードをお願いしたお店です。私も含め,お店の評価は高いと思います。

 HDD本体は昔から使っているHGSTを今回も無難に選びます。今お買い得そうなのはHDT721010SLA360のようです。ケースはこの際安物でもいいので,小型でeSATAとUSB2.0に対応した玄人志向のGW3.5US-UE/SWにします。この2つはアキバのお店に注文。

 発注から1週間ほどしてすべて揃った先週,早速検討開始です。しかし,今にして思えばちょっと慌てすぎたかなと思うところがあります。

 カードをMacBookProに差し込み,認識されていることを確認しました。HDDは組み立て済みで,USB2.0経由での動作を確認してあります。いよいよこの2つをeSATAケーブルで接続します。

 そしてディスクユーティリティーでフォーマットをしますが・・・数秒後になんとカーネルパニックが発生。SadMacも恐ろしいですが,カーネルパニックも負けず劣らず恐ろしいです。

 すんなり動いてくれないことが分かったので,とにかく原因を潰していきます。この段階で私はすっかり検討モードになっていました。

 まずケースのGW3.5US-UE/SWですが,eSATAで使うときにはHDDのインターフェース速度を1.5Gbpsにしておかねばならないそうです。eSATAは電気的にはSATAと同じはずなので,HDDから引っ張り出しているだけのはずなのに,なんで1.5Gbpsに制限されるのかわかりませんが,おそらくUSB2.0とのブリッジチップがeSATAへのバイパスを行う際に,出力バッファの動作を3.0Gbpsでは保証出来なかったりしたんでしょう。

 しかし最初の問題はここで発生。HGSTのHDDは,インターフェース速度をFeatureToolというソフトで設定します。他社のようにジャンパピンで設定できません。FeatureToolはDOSベースなので,SATAネイティブサポートし,フロッピーもしくはCD-ROMからDOSが起動できるマシンが必要です。

 考えてみると,そんなマシンは今時普通のものなのですが,あろうことかうちには全くありません。

 そこで,3.0Gbpsに対応するカードとHDDを直結することにします。といってもそんなケーブルはすぐには手元にないですから,ケース内部の基板を改造して直結です。結果,やはり同じでした。

 そんなこんなで,以下のような検討を行いました。まとめてみます。


・環境

本体:15inch-MacBookPro(MB134J) , MacOSX10.5.6(ビルド 9G55)
HDD:HDT721010SLA360(HGST,3.5inch-1TB,3Gbps)
  HTS542580K9SA00(HGST,2.5inch-80GB,1.5Gbps)
ケース:GW3.5US-UE/SW(玄人志向)

(1)MacBookProにeSATAカードを装着し,HDT721010SLA360をケースに入れて
 eSATAで接続,ディスクユーティリティでフォーマットを試みるが,
 フォーマット開始後数秒後にカーネルパニック。(再現率100%)

(2)同じHDT721010SLA360をケースに入れてUSB2.0で接続して
 フォーマットすると,問題なく完了し,以後の読み書きも問題なし。

(3)このケースがeSATAで使用する場合にはインターフェース速度が
 1.5Gbpsでないとダメだという制限があるため,SATAとeSATAを
 接続するケーブルで直結しケースをバイパスしたが,
 状況は全く変わらず。

(4)1.5Gbpsで試したいので,HTS542580K9SA00をPS3から取り外し,
  ケースを介して繋いだところ,やはりeSATAでは再現率100%で
  カーネルパニック。USB2.0接続ではこちらも問題なし。
 
(5)そこでeSATAカードに使われているJMB36xの最新ドライバを
 JMicronからダウンロードしインストールして試すと,
 HDT721010SLA360ではカーネルパニックは起きないが,
 フォーマットが進まず,数十分後にタイムアウトでエラー。

(6)上記に続きHTS542580K9SA00で試したところ,フォーマットは
 完了するが,マウントしたHTS542580K9SA00に100MB程度の
 ファイルを書き込むと20から30MBごとに30秒ほど書き込みが
 停止する。再開と停止を何度か繰り返してコピーは一応完了する。

(7)BootCampを使いMacBookProでWindowsXPを立ち上げ,
 VintageComputerさんのサイトからダウンロードしたドライバで
  試して見るが,上記(1)から(3)までとまったく同じ状況が再現。

(8)さらにJMicronからWindows用の最新ドライバをダウンロードし,
 インストールして試して見たが,(4)から(5)までと
 全く同じ状況が再現。

(9)念のためDVD-ROMからMacOSX10.5を起動してみるが,
 HDT721010SLA360をeSATA経由でアクセスした瞬間に
 カーネルパニック。

(10)急遽用意したSil3132チップを使ったグリーンハウスのGH-EXC-ESA2で
  試すと,HDT721010SLA360も全く問題なく動作。

(11)さらに急遽用意したSATA-IDE変換基板を開始,FeatureToolを使って
  HDT721010SLA360を1.5Gbpsに設定し,グリーンハウスのカードに繋ぐが
  全く問題なし。

(12)さらにHDT721010SLA360をVintageComputerのカードに繋ぎ,
  JMB36xの最新ドライバを入れてフォーマットすると,以前起きていた
  タイムアウトは起きず,フォーマットは完了。ただしファイルの
  書き込みが一時停止するという(6)と同じ現象が発生。

(13)ただしGH-EXC-ESA2においては3Gbpsでも1.5Gbpsでも問題なく動作。


 ということで,

・USB2.0での動作はok -> HDDは壊れていない
・ケーブル直結でもだめ -> ケースの有無は無関係
・LeopardでもWinXPでも全く同様の挙動 -> OS依存ではない
・DVD-ROMからのブートでも発生 -> 個人的な使用環境に依存しない
・カードを別のものに変えると動く -> カード以外は問題なし
・ドライバを最新にすると動作が安定する -> ドライバは新しい方がいい

 という感じになりました。

 すでにグリーンハウスのカードを使って安定動作が出来ているので,これ以上追い込むこともないように思いますが,問題はVintageComputerのカードが初期不良なのかどうかです。私の見るところ限りなく初期不良の疑いが強いのですが,とにもかくにも先方に連絡をしないといけません。

 結果,確かめたいので返送せよ,とのこと。他ののカードで動いているのですから特別急ぐこともありません。仮に初期不良だったとして交換してもらえたら,1枚無駄になるように思うのですが,ブート可能なカードがあった方がよいと思うので,きちんと確かめてもらうことにします。

 ところで,動き始めたeSATAですが,かなり高速です。Macで測定したベンチマークですのであくまで参考程度です。

Drive Type Hitachi HDT721010SLA360
Disk Test
Sequential
Uncached Write 70.14 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write 76.09 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read 11.64 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read 98.49 MB/sec [256K blocks]
Random
Uncached Write 1.88 MB/sec [4K blocks]
Uncached Write 51.72 MB/sec [256K blocks]
Uncached Read 0.66 MB/sec [4K blocks]
Uncached Read 30.56 MB/sec [256K blocks]

 最も高速な時に100MByte/sec出てますが,1.5GbpsのSATAの理論値150MByte/secがあればこそ,の値です。FireWire800でも,もちろんUSB2.0でもこの数字は出てこなかったと思います。

 実際,体感上の速度向上も大したもので,気分的には従来の2倍程度の速度のように感じます。これまで私はExpressCardもSATAも全く関係ない生活を送ってきましたが,デビューを果たせてとりあえず目標達成,というところです。

土曜日に顔をあわせるおばちゃんとお別れ

 私はamazonをよく使います。一瞬ヘビーユーザーと書こうと思いましたが,ちょっとググると「朝起きてamazonからの荷物を受け取るのが日課」という強者もいらっしゃり,そういう方こそヘビーユーザーを名乗るにふさわしいと考えたので,ここは「よく使う」くらいにとどめておきます。

 私の地域では,CDやDVDは佐川のメール便,それ以外はペリカン便で届いていました。メール便には紛失や届くのに時間がかかりすぎるという問題が未だに起こり,届くまで気の休まるときがないのですが,ペリカン便はここ数年,トラブルなしなのです。

 どうもペリカン便はあまり評判がよろしくないようですが,こと私について言えば,これほどありがたい配送もありません。

 ペリカン便は,日中の私の地域の担当の方が,いつもニコニコしている元気なおばちゃんなのです。特別親しいわけでもありませんが,さりとて挨拶だけで終わるわけでもありません。互いに何となく知っている間柄のような感じがルあるからでしょうが,彼女の名前が書かれた不在票が挟まっていると(彼女は不在票をポストに入れず,ドアの隙間に挟んでくれます。間違いを防ぐ工夫でしょう),これでもはや届いたも同然という絶対なる安心感と,同時にいつも不在で悪いなあという罪悪感とが,なにやら妙な親近感を感じさせます。

 いつも土曜日の午後一に再配達をお願いするので,その週のamazonからの荷物を土曜日にまとめて受け取り,私の休日はスタートするわけですが,おばちゃんももう数年同じパターンで土曜日を過ごしている事になり,こちらがお願いをしなくても,気を利かせて土曜日には「いるかと思って」と荷物を届けてくれたりするのです。

 平日は不在であることがわかりきっていますから,もう平日はこなくていいですよ,といったこともあるのですが,「それは規則上無理なんですよ,一度はこないといけないことになってますんで」と配送にかかわる人間としては当たり前の,しかし立派な意見を,実際にここ数年きちんと実践されていました。

 もう1つ,このおばちゃんはタバコを吸われないようです。特に佐川の荷物はたばこ臭くて,すぐに箱を捨てるのですが,ペリカン便がたばこ臭かったことは一度もありません。これね,私のようなタバコの煙で息苦しくなる体質の人にとっては,実に実にうれしいことなんです。

 よく「ヤマトはいい」とか「佐川はどうも」とかいう意見がありますが,はっきりいって宅配業者なんてのは,最終的に人と人の実にアナログな部分での仕事ですから,その担当者がいい人なら安心できる業者だと思うだろうし,気に入らない人だと思ってしまえば,業者まるごと気に入らない,と言うことになってしまうものです。

 私の場合は,そのおばちゃんのおかげでペリカン便の評価は高かったのですが,ご存じの通りペリカン便は「JPエクスプレス」という新会社に移管されることが昨年決まり,昨日4月1日から新会社によるペリカン便がスタートしました。

 日本郵便のゆうパックがJPエクスプレスに合流するのは今年の秋になり,それまではペリカン便の名前で単独によるサービスが存続します。心配になっていたのは,amazonの荷物が同じようにペリカン便で届くのかどうかでした。

 しかし,私の願いもむなしく,先日注文した商品の発送連絡には,ペリカン便の文字はありませんでした。佐川飛脚便とあります。耳慣れませんが,要するに普通の佐川急便で届くようです。

 実は,発送が遅れていた商品がようやく発送され,昨日の20時から21時で再発タイツをお願いして受け取った所なのです。ということは,もうペリカン便で届く荷物はもうすべて完了してしまい,今後あのおばちゃんが荷物を届けてくれることはなくなってしまいました。

 分かっていたら土曜日まで待って,昼過ぎの再配達の時にこれまでのお礼を言いたかったのに,残念です。

 まあ,他の業者がペリカン便を使ってくれればあのおばちゃんが届けてくれるかも知れませんし,最悪自分が集荷を頼めばおばちゃんが来てくれるかも知れません。しかし,新会社設立と業務の移管,そして数ヶ月後のゆうパックとの統合で,あのおばちゃんがいつまで私の地域を担当してくれるのか,全く分かりません。

 佐川も以前よりは随分良くなったと思いますが,それでも担当者が半年ごとに入れ替わる感じでその度に傾向が変わる(たばこ臭いとか早めに来るとか遅めに来るとか)し,誤配の可能性も増えてしまうので,正直に言うと手元に届くまでは落ち着きません。

 ということで,ともかく数日おきにややこしい道を通って我が家まで来てくれて,そして毎週土曜日にいつも荷物を再配達してくれて,この5年ほど,ありがとうございました。またお会いできる時を楽しみにしています。

PC-E500が動かなくなりました

 PC-E500関連のネタはもう昨年の秋で終わりになると思っていたのですが,昨日書かねばならないことが起こってしまいました。

 昨年10月に改造と環境構築が一区切り付いたPC-E500ですが,単4エネループ4本は搭載されたまま,ずっとメモリもバックアップされたままでした。思いついたときに動作試験を行い,電池が切れていないかを調べていたのですが,昨日調べると全く動作しません。

 電池切れはまあ来るべき時が来たか,という感じとして,心配なのはバックアップ電池の消耗によるメモリ内容の完全消去です。

 SRAMですから,電池が切れると苦労してインストールしたソフトや作った環境が全部消えてしまいます。再インストールの手間が大変なのでそれだけは避けたいと思っていましたから,気休めにメモリバックアップ電池をCR2016からCR2032に大型化してあります。しかしCR2032に変えたところで数日でバックアップ電池も消耗してしまいます。

 実はCR2032は切れていませんでしたから,今にして思えば,この時素直に新しい単4電池に入れ替えていればおそらくすべてはうまくいったのでしょうが,私のやることがすんなりうまくいくはずがありません。その時,やはり新しい電池は手元にありませんでした。

 仕方がないので,拡張コネクタの電源端子に安定化電源を突っ込むという荒技にでました。

 ・・・なにも表示されません。メモリ内容がこわれたのかも知れないですね。あきらめてリセット・・・なにも表示されません。壊れたのか!

 電源電圧が低いのかも知れないと思い,少しだけ電圧を上げてみました。勢い余って7V以上の電圧がかかってしまいました。一瞬表示が出てかと思うと,また画面が消えています。電流計を見ると,なんと500mAも流れています。普段の20倍です。

 これは深刻だと,別のマシンから単4電池を取り外して付けてみますが,やっぱり動きません。そうすると,ほんのり背面が暖かくなってきました。

 やばい・・・RAMカードのフタを外すと,私がS3:エリア用に2段重ねで増設したSRAMがむき出しになっているのですが,これを触るとやけどしそうなほど発熱しています。

 やっちゃいました。

 電圧を不意に上げたことで,SRAMがラッチアップして死んでしまったようです。

 これでは起動するはずもありません。私は事態の深刻さをようやく理解したのでした。

 とりあえず修理しなければなりません。発熱したSRAMは2段重ねの上段ですから,まずはこれをニッパーで足を切り取り外します。ここで動けば下段のSRAMは壊れていない可能性があります。(壊れていないとは言い切れませんし,壊れてなくてもストレスがかかっているわけですから,寿命は極端に短くなっていることでしょう)

 試したところ,幸いにも起動します。下段のSRAMも壊れているかも知れませんが,壊れていない可能性も高くなってきました。

 そこで同じSRAMの新品を1つ用意し,交換。うまく起動してくれました。動作電流もスタンバイ電流も問題はなさそうです。

 この2つのSRAMの全アドレスに55hとAAhを書き込み,メモリテストを行いましたが,無事に通りました。直ったようです。

 そして一番面倒なソフトのインストールと環境構築。日本語環境とエディタ,そしてファイラーの最低限の環境だけ整えて終了とします。この間3時間。いやー,時間の無駄とはこういう事をいうんでしょうね。

 ところで単4のエネループは750mAh程度の容量があるようです。この改造されたPC-E500では,スタンバイ電流が200uA程ありますから,ざっと3750時間となります。日数に直すと156日ですので約5ヶ月と言うことになります。

 今回のPC-E500では,メインの単4電池はすっからかんでしたが,メモリバックアップ用のCR-2032は2.7V程度でしたので,メインの電池が切れてそれほど時間は経っていないと思われます。

 それで,昨年10月に電池を入れ替えていましたので,電池が切れたのが最近とすれば約5ヶ月。恐ろしいほど正確です。実際,DC-DCコンバータの搭載とSRAMの増設でどれくらい電池が持つのか気になっていましたが,なんとか期待した通りになってくれていたことがわかり,安心しました。

 ということで,今後は4ヶ月くらいで電池を入れ替えた方が良さそうです。

 実は,前日の土曜日には,palmTXへの以降の総仕上げとして,課題として残っていたWristPDAの環境設定とデータの共有にチャレンジしていましたが,やはりはまりまくりました。ざっと6時間かかってようやく動くようになったのですが,これもまあ時間の無駄と言えば,その通りでしょう。

 友人が私にそそのかされてchumbyを買い,やはり土日に完全引きこもりで遊び倒したそうですが,どういうわけかこの手のガジェットというのは,我々の心をとらえて放さない何かを放っているような気がします。

有機ELと無機ELを混同する雑誌

 CQ出版社の雑誌や書籍には,学生の頃は趣味で,現在は趣味に加えて仕事でも随分とお世話になっています。電気電子関連の技術書でも,出版社によって難易度や傾向の違いがあって,同じテーマの本が複数あった場合に,自分の欲しい情報が載っているものを出版社から選べるようになると,本選びも幅が広がります。

 ただ,先日とても残念な事がありました。詳細はもう少し後で書こうと思っているのですが,ちっとも訂正されないのでここに書いておきます。

 CQ出版社は,電子工作の雑誌として「エレキジャック」を刊行しています。年に4回ですでにNo.11といいますから,3年近くになるのですね。

 私は,その主旨に共感してNo.1からずっと購読しています。内容の良し悪しはここでは議論しませんが,それ以前の問題として,手の付けようがない誤りが必ずどこかにあることが大変気になっています。

 ちょっとした誤記は構いません。ありがちなことですからきちんと訂正をすればよいでしょう。しかし,少しばかりの調査や勉強を怠ったと思われる明らかな間違い,著者の思い込みに誰も気が付かずそのまま表に出てしまう甘さ,といったこの手の雑誌としてはもはや致命的な問題が,初期の頃から現在に至るまで改善されずにいます。

 いや,重箱の隅を突くような細かい間違いをあげつらっているわけではありません。そんなことをすれば書ききれないほど出てきます。そうではなく,根本的な理解をしていない,原理的に間違っている,といった,書き間違いや表記のミスという表面的なミスではない深い所の話だけに,これを読んだ人は誤った知識で以後過ごすことになるだろうことに,憂慮しているのです。

 以前にも書いたかも知れませんが,No.1の記事にあった,ガリレオがピサの斜塔からものを落として落下の速度は重さに関係がない事を証明した,なんて話は,後の世の作り話であることはもはや常識です。こんなことを未だに平気で書いている人がいるのか,そしてこれをチェックする人が誰もいないのかと,あきれてしまったことを思い出します。

 最新号であるNo.11のミスについては,もはや打ち上げ花火級です。

 CQ出版社の書籍案内サイトの,エレキジャックNo.11を見てみますと,その紹介の冒頭,

「光る電子部品で有名な「LED」や次世代照明と呼ばれている「有機EL」を使ったユニークな作品を15種類作ります.」

 とあります。しかし,実際に工作で使われているのは,有機ELではなく,無機ELです。

 秋月電子で売られているELシートを使ったありがちな工作なのですが,有機ELを使ったことになっています。しかし秋月電子で売られているELは無機ELです。(秋月電子もそういっているそうです)

 難しい話はちょっと割愛しますが,有機と無機の違いは,材料が無機なのか有機なのかという違い以上に,発光原理から根本的に異なっていて,その歴史も全然別物です。

 原理的な違いから,無機ELは交流駆動,有機ELは直流駆動をします。工作ではわざわざ交流で駆動するインバータを用いているにもかかわらず,有機ELを使っていると書いてあるわけです。

 私の想像ですが,この作者の方は,無機ELというものがあることを,そもそも知らないんではないかと思います。百歩譲って知っていても,材料が有機か無機か,程度の違いであとは同じなんだろうと,そんな風に思い込んでいたのではないでしょうか。そうでないなら,公に記事を書く段階でその違いを意識して調査をしなかったという無頓着さに,知らなかった事以上の罪深さがあるように感じます。(余談ですがこの方は高校の先生なんだそうです)

 この有機ELと無機ELの2つを混同しているという初歩的な知識不足と,事前にちょっと調べてみるという慎重さを欠いた姿勢に,私は開いた口がふさがりませんでした。

 ご丁寧に,工作以外にも有機ELの解説記事まで載せていますが,工作が無機ELで行われている以上,解説記事との関連は結果的に非常に薄くなります。もし仮に関連記事としてトピックスとして有機ELを紹介する記事なら,工作の記事内に解説を参照させる記述を避けるなど,それなりの書き方や扱いがあるべきです。

 解説記事には,1935年の古い日本の小説の「蛍の光を人工的に作るなど夢のような話」という部分をとりあげ,現在蛍の光が照明に使われるようになってきていることなど想像も出来なかっただろうと書いて,技術の進歩を讃える部分があるのですが,有機ELは1980年代後半の開発でも,無機ELは1936年にフランスで発光が確認されていますから,小説当時としても夢物語というのは無理があるでしょう。

 この解説では,有機ELは蛍の光と同じ原理だと論じて話を進めています。広く「ルミネッセンス」というくくりに視点を置けば確かに誤りではありませんが,そういう話になると,無機ELもLEDも,ルミネッセンスで発光するものはすべて蛍の光と同じ原理です。

 有機ELを「夢の光」と言いたいなら,蛍を引き合いに出すのは無理があり,「蛍の光を照明に」と言いたいなら,話は無機ELまで遡る必要があります。

 こうやって,非常に都合の良い解釈で有機ELの先進性を語り,そこから今回の工作の先進性まで高めていこうという流れには,恣意的と言うよりむしろ,悪意さえ感じるのです。

 有機ELは名前ばかりが先行し,その実体が一般によく理解されていないデバイスです。無機ELは戦前からの歴史がある割には使い勝手が悪く,我々がその存在を意識するシーンは非常に少ないのが現状です。よって,間違った知識が広まっていますし,その根源は間違った解説や浅い説明によるところが大きいと考えています。

 それを正していくのが,技術系出版社が出す雑誌の役割です。初学者が手にするエレキジャックのような雑誌であればなおさらの事で,難しい事実を簡単にかつ正確に説明するという,最も難しい役割を担う覚悟も不可欠でしょう。

 こうした間違った内容を利用し「次世代照明として注目の有機ELで工作」とNo.11の売り文句の1つにしています。これを目当てに買った人もいるでしょうが,実際は無機ELなわけです。仮に悪意はなくとも,誇大広告,不当表示にあたるんじゃないでしょうか。

 さらに深刻なのは,工作の作者先生がこうした無理解と不勉強による根本的な思い違い(作者のホームページにはなんと有機ELの特設ページが無機ELを使った工作で作られています)を,結果的にプロの編集者が誰一人として指摘できなかったことでしょう。これを宣伝文句に表紙に広告にと,あらゆるところで大々的に謳っているなど,見ている私まで恥ずかしくて赤面してしまいます。

 実は,この点,私は技術者としての社会的責任という技術者倫理の観点から看過できず,発売後数日で編集部宛に指摘のメールを送っています。

 すぐに反応があり,事実確認がなされて,これは有機ELではなく無機ELと判明しました。その後何度かのやりとりがありましたが,訂正がWEBのサポートページに掲載されただけで,他への対応はどうも行われていないようです。なにも,回収しろとか正誤表を挟めとか告知を出せとか言いませんが,せめて訂正の簡単なWEB上の出版案内などは誤りであることがはっきりした時点で,すぐに訂正をして欲しいものです。

 こういう所に,編集部,ひいては雑誌社の責任感や使命感が見え隠れするのですが,CQ出版社についてはトランジスタ技術やインターフェースなどの雑誌は秀逸ですし,オペアンプ大全などの素晴らしい書籍をコツコツと作っている出版社だけに,こんなことで評価を落とされてしまうことは,ファンとしてとても残念な事です。私見ですが,同じCQ出版社であっても,それぞれ雑誌によって作り手の「丁寧さ」に大きな差がある,というのが,印象だったりします。

 ところで昨日,オライリーからmake:日本語版の最新号が発売になり,早速買ってみましたが,こちらは毎号毎号面白さが加速していますし,作りの丁寧さには毎度毎度唸らされます。比較をするのは筋違いかも知れませんが,同じような工作をテーマにした雑誌の中では,他の追随を全く許さない,独走態勢の雑誌と言って良いでしょう。年4回の刊行になるそうで,この手間暇をかけた作りで年4回はきついと思いますが,ぜひ頑張って欲しいものです。


 団塊世代がお金と暇を持て余すようになって真空管アンプや真空管ラジオがちょっとしたブームになり,また専門知識がなくてもそこそこ使いこなせるフィジカルコンピューティングやプロトタイピングを指向したArduinoなどのおかげで,ちょっとした電子工作ブームが来ています。

 そのことそのものはうれしいですし,大変結構な事ではありますが,物足りないのはこれを支援する情報源が質,量共に今ひとつで,特に雑誌系はその内容がもはや壊滅的というのが現状だと思います。もっとも,少し前の状況から考えると,電子工作の雑誌が本屋で買えること自体が驚きなのですが,どうせ出すならもっとしっかりしたものを望みたいものです。その点で,日本には「子供の科学」という,お手本にすべき優れた雑誌が存在します。

 私としては,過去に電子工作の雑誌に育てられてことに感謝しているので,なにかこの手の雑誌のお役に立てればと常々思っているのですが,なかなかきっかけがないのが現実だったりします。

古時計

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 この小汚い時計は,セイコーの「TIME PORT-7」という名前の時計です。1980年の発売といいますが,私が父からプレゼントされたのは1981年であったと記憶しています。プレゼントされた理由は定かではありませんし,当時小学生だった私も,なぜもらえるのだろうかと疑問だったことを覚えています。

 あれから28年。何の変哲もない時計ですが,学生時代は机の上に,社会人になってからは目覚ましにと,常に私の傍らにいた時計です。

 星の数ほどあるデジタル時計の中で,「TIME PORT-7」でググると,何件かヒットします。当時においても,そこそこ個性的な時計で,現在も大事に使い続けている人が日本にも海外にもいることに,妙な親近感を感じました。

 私にとってこの時計は,もはやこれでないと困る時計です。近所迷惑なのではないかと思うほど大きな音がするアラームは確実に私をたたき起こしてくれますし,ストップウォッチ機能は置き時計ならではの安定感と操作のしやすさに秀でています。これまでの膨大なネガの現像は,すべてこれが刻んだ時間で処理されています。

 物持ちの良い私でも,さすがに30年近く使い続けたものというのはこれくらいでして,モーターやギアのない時計ですから,壊れるはずもないとラフに扱っていたのが災いしたのでしょう。

 写真でも分かりますが,LCDの左側が,黒くなっています。

 経験的に,LCDは遅くても20年,早いと数年で,こうして黒くなってしまいます。最初は端っこの小さいエリアでも,徐々に広がっていってしまいます。指で触ったり,水がかかるとさらに広がるのが早くなります。

 もうこうなると復活の方法はLCDそのものの交換しかありませんが,すでに30年近くが経過した時計が修理出来るはずもありません。事実,修理を断られたという体験談をホームページに書いている方もいらっしゃいました。

 昨年くらいに左上が黒くなり始めたのですが,仕方がないで済ませていたのです。ところが先日,ちょっとした振動で時刻がリセットされてしまう状況に業を煮やし,分解して修理することにしたのが運の尽き。

 LCDの偏光フィルムも劣化するので,新しいものに交換しようとしたところ,どうも厚さが変わったらしく,基板をネジ止めしてもうまく導電ゴムと端子が接触せずに,綺麗に表示がなされません。別のフィルムを敷いて厚みを稼いで解決したのですが,これに気が付くまでにすでにネジ山はなめてしまい,LCDもより広い範囲で黒くなってしまっていました。

 これにはがっかりです。余計なことをしなければ良かったです。

 しかも,AMとPMの表示部が黒くなってしまったので,PMの時だけ,Mの左下のわずかな部分だけが点灯しているかどうかが,AMとPMを見分ける唯一の手段です。アラーム時刻のセットでAMとPMをよく間違えてしまう私にとっては,この問題は致命的と言えるでしょう。

 まあ,後継機がきっとあるさ,と探してみますが,これに代わって使えそうなものは見つかりません。修理しようにもそれは出来ないといわれています。オークションを探してみるのも手ですが,30年前の,それも普通の時計がそうそう簡単に手に入るとも思えません。

 ポケコンもLCDが黒くなってしまいましたし,ゲームウォッチも黒くなっています。LCDという自分の寿命よりも短い命の部品を使った製品を大事にするには,自ずと限界があるようです。

 ACで動くものなら,思い切って別のディスプレイに交換してしまうのですが,単三電池一本で1年以上動く時計ですから,素人が手に入れられる部品で修理するのは難しそうです。

 なってしまったものは仕方がありません。とりあえず,わずかに判別できるPM表示を頼りに使い続けることになりますが,これも次第に見えなくなることでしょう。そうなるまでの間に,なにか良い方法を考えついて,実用レベルで修理が可能になっておく必要があります。

 使われている時計用LSI「uPD1991」については,全然データシートが見つかりません。本気で使えるレベルにするための工夫を,遠からずやってくる「使い物にならなくなるとき」のために,考えておこうと思います。

新しいiPodShuffle

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 新しいiPodShuffleを買いました。

 ついでに買うものもあったので,またヨドバシにお願いしたのですが,3月14日出荷の15日到着で届いてしまいました。最近のApple製品は,発売直後でも在庫がちゃんとあるんですね。

 早速開けてみたのですが,予想通り「驚くほど小さい」という感じではありません。確かに以前のものより小さくなっていますが,ここまで小さくなると劇的に使い勝手や印象が変わる,と言うものではないなあと思います。

 写真の通り,1世代前のMacBookProとよく似合っています。

 レビューは他にもっと詳しいものがあちこちにあると思いますので,私が言うべきことはほとんどないのですが,今回の目玉について何だと問われれば,それは大きさもさることながら,やはりVoiceOverです。

 まだちゃんと使い込んだわけではないのですが,分かったことはデフォルトでは完全ではなく,手作業によって調整がないと,満足な「おしゃべり」を聞けないことです。

 例えばプレイリストのタイトルですが,明らかに英語で表記してあっても日本語読みしてしまうことがあります。最初なんと言っているのかさっぱり分かりませんでした。

 曲のタイトルもしかり。ちゃんと英語で発音するものもあれば,なぜか日本語読みされてしまうものもあります。私はMacOSX10.5ですので,英語の音声はなかなか良くできていて,日本語の音声との落差が大きく目立ってしまいます。気に入らなければ曲ごとに設定を変える必要がありますが,10000曲を越えたライブラリでそれを1つ1つやるのは現実的に不可能です。

 14カ国語でしゃべる,まではいいとして,それが英語なのか日本語なのかフランス語なのか,どうやって判別するのかなあと思っていたら,やっぱりそこがツメの甘さを露呈したような感じです。

 VoiceOverで音声が出ているときには音楽の音量が小さくなるのですが,ちゃんとフェードイン/フェードアウトしますので,違和感もありません。このあたりは良くできているなと思います。

 あと,リモコンです。

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 このリモコンは,すでに発売されているApple純正のリモコン付きヘッドフォンのものと同じらしく,別に珍しいものではないのですが,簡単にばらせそうだったのでツメでこじ開けて,ばらしてみました。

 何のことはない,スイッチが3つ付いているだけです。

 ということで,ちょっと使ってみて思ったのですが,はっきりいって,私にはこれで十分です。容量も十分ですし,リモコンがないと何も出来ないのでヘッドフォンを交換しようという欲も起きません。

 音質もこれ以上のものを望むような使い方をしませんし,これ以上軽い必要も,小さい必要もありません。強いて言うなら安くなる方向はありだと思いますが,今の値段でどうにもダメかというそんなこともありません。

 今回の買い物で何か新しいことができるようになったわけではありませんが,妙な満足感があるのは,さすがAppleということでしょうか。

宅サーバー

 さて,うちには古くから,24時間可動のサーバーが鎮座しており,各種のサービスを提供してくれています。

 そもそも発端は,Geocitiesの会員規約変更でした。自分でホームページでも持って見るかとGeocitiesで自分のホームページを外に公開し始めた私は,後に変更された会員規約に納得が出来ず,すべてのコンテンツを引き上げました。

 その際,自分のサーバーで管理しないと同じ事になるんじゃないのかと考えた私は,無謀にも自分でhttpサーバーを用意することにしました。

 固定IPを手に入れることや,独自ドメインを用意するなどという大げさなことは考えず,消費電力の小さい小型のノートパソコンにWindowsを入れて,ここで細々と運用を始めました。DynamicDNSというサービスがいくつか始まっていたことも追い風でした。

 その後,不安定で管理が案外面倒なWindowsから,堅牢で実績もあり,apacheなどデファクトとなったサーバーが安全に使えるLinuxに移行し,現在に至っています。マシンもPentium133MHzの富士通のサブノートからMMX-Pentiumの233MHzの日立のサブノートを経て,現在は500MHzのCeleronを持つThinkPadX20が活躍中です。

 Linuxは自宅サーバーでよく使われているらしいVineLinuxを最初から使っています。私は仕事でLinuxを使っているわけではありませんから,なにか困った事が起きればまずgoogleに尋ねることから始まりますが,VineLinuxならすぐに先人達の知恵を得る事が出来ます。これはありがたいことです。

 最初はhttpとftpくらいしか用意しなかったサーバーも,24時間外部とアクセス可能,と言う点で幅を広げ,現在はhttp,ftp,smtp,pop3,DNS,ssh,WebDAVが使えるようになっています。これらのサービスを独り占めできるというのは,設定の面倒さやこけた時の損害,そしてセキュリティ面でのリスクという点を考えても,なかなかありがたいものです。


 さて,先日palmTXを手に入れたのですが,せっかく無線LANとWebブラウザが内蔵されているにもかかわらず,そのブラウザがUTF-8の日本語を扱えないという大問題があり,文字化けのせいで使い物にならない,という問題にぶち当たっていました。

 とはいえ,これはもう自分では対応のしようがありませんし,そうして多くの先輩方があきらめていたわけですが,ある奇特な方が「PalmGate」という無料サービスを用意して下さったことで,さくっと解決してしまいました。

 これは,携帯電話用のPHPで書かれたスクリプトによって,様々な文字コードで書かれたホームページをShiftJISに変換し,Palmに届けるというものです。その際,画像のリサイズを行うなど,Palmの小さな画面でも見やすく加工してくれます。

 私も使ってみたのですが,なるほどこのサービスは素晴らしく,一気にpalmTXの問題を解決してくれました。多くの方々が賞賛されていますが,その理由も分かろうというものです。

 専用のソフトを立ち上げると,まず期限付きのライセンスを手に入れて,その後Webブラウザが自動的に起動します。このライセンスの期限が切れていると,利用できない仕組みになっています。

 そんな便利なサービスも,個人によるボランティアですから,いつまで維持されるかわかりません。すでにPalmが死に体であることを考え,またライセンスの入手が今のところpalmでしか動かないアプリケーションのみ可能という事からも,なんとか自分の手でこのサービスを立ち上げておく必要があると,そう考えました。

 調べて見ると,PC2MというGPLに従った形で配布されているフリーのスクリプトが,その機能を実現している事が分かりました。さらに調べると,どうもPalmGateも,このスクリプトを使っているようだと分かりました。

 であるなら話は早いです。このスクリプトを自分のサーバーに置きましょう。

 まず,PHPが動くようにしないといけません。最近は「apt-get install ~」で依存関係も整理して最新版をインストールしてくれるので,本当に楽ちんですね。おっちゃんが若い頃は./configureからmakeしたもんです。

 うちのapacheは2ではなく,1.xなんですがころっと忘れており,PHPもapache2のものをインストールしてしまい,さっぱり動かなかったことに数時間悩むという恥ずかしい失敗をやらかしたのち,無事にPHP5が動き始めました。

 その後,PC2Mをそのまま置いて,いくつか設定を行ってみると,とりあえず問題なく動くようになりました。,本当はいくつか問題を抱えて悩んだのですが,そこは試行錯誤を繰り返しているうちに解決してしまったという,ありがちなはなしです。(もちろんスクリプトは一応ざっと読んでみましたし,今回の件で発覚したhostsファイルの書き間違いとかも修正することになりましたから,それなりに悩んだのは確かです。)

 ちなみに私はvi使いなのですが,HJKLキーでカーソルを縦横無尽に動かし,:q!とshift+ZZを巧みに使い分けて作業していると,なぜか脳のシワからアドレナリンがじわじわと滲み出てくるような気がします。やばいですね。

 ただし,うちの回線は未だにADSLですから,下りはいいとして上りが極端に遅くて,とてもPalmGateの快適さには及びません。サーバーマシンのパフォーマンスが低いことも問題としてあるかも知れません。

 ただ,こうやって,自分の責任で自分へのサービスを用意することは,とても楽しいことです。他の人に提供するものではありませんから,自分が必要としない要求に応える必要はありませんし,またそこまでの技術力も私にはありません。損害を出すかも知れないという過度な危機感を持つこともいりませんし,結局困るのは私だけですので気楽なものです。

 公共のネットワークに繋がるものですので,他の人に迷惑をかけるようなことがあると,それはもう最悪なわけで,この点だけは厳密に行う必要がありますが,それも勉強の1つです。どういう設定がまずいのか,なにを放置すると悪用されるのか,それがわかるというのも,とても良い機会だと思います。

 web2.0だのクラウドなどと,クライアントは軽く,サーバーは重くなる傾向は今後も加速していくことでしょう。それに従い,ユーザーは無意識のうちに,その実体が手元から遠のいていくという現実にさらされ,結果として現在すでに壁の向こうにあるサーバーは,やがて文字通り雲の上にあるものとして,時々思い出される程度の存在になることと思います。

 サーバーの管理はやはり難しく,面倒で,しかも負わねばならない責任は小さくありません。しかし,この知的な遊びは面白く,うまく動いたときの感激は,本業であるハードウェアの設計で得られるそれに,勝るとも劣りません。